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ベンチャーウィスキー秩父蒸留所 Destilería Chichibu de Venture Whisky


IMG_0032.JPG池袋から西武池袋線特急レッドアロー号で
1時間18分。西武秩父駅に到着。ここから先はタクシーしかありません。「20分ぐらいかかりますよ」と運転手さん。山を2つ超えてやってきたのはIchiro’s Maltで知られる肥土伊知郎さんの「ベンチャーウィスキー秩父蒸留所」です。キルン(乾燥塔)が可愛い。(後でうかがったら、まだ今は使われていないのだそうです)


 肥土さんは、今は無き羽生蒸留所を運営する「東亜酒造」の設立者のお孫さんで、まずはサントリーに入社しました。けれども羽生蒸留所が廃業になった時、残った熟成中のウィスキーを廃棄から救うため、福島県の「笹の川酒蔵」にお願いして貯蔵してもらいながら、
2004年、ベンチャーウィスキー社を起こし、ご自分でウィスキーつくりを始めたという、まさにウィスキーとともに生きていらしたといっていい方です。


IMG_0086.JPGのサムネール画像秩父蒸留所は
2008年から稼働。スタッフはみんな若くて元気で、やる気満々です。訪問した1212日は快晴。空気は冷たいですがさわやかです。それも夜中になるとみんな凍り始めるとか。きれいな空気と水が良いウィスキーつくりによいとあれば、寒さにも絶えましょう。遅番のグループは真夜中まで働いています。


IMG_0066.JPG「世界で一番小さい蒸留所です」と言われた通り、規模は小さいですが、それだけにとてもアットホームな温かい雰囲気です。麦の選別テーブルから木の発酵槽、ポットスティルまで、自分の手でひとつひとつ確かめながら作業しています。樽熟庫には様々な大きさや形の樽が並んでいます。はるばるヘレスから秩父までやってきたシェリー樽を見るのは感激でした。こうして少しずついろいろなことを試し、経験を積み重ねながら、新しいウィスキーを生み出していっているのが、ベンチャーウィスキーの面白さでしょう。飲ませていただく私たち消費者も一緒に成長していくような楽しさがあります。


 
IMG_0028.JPGベンチャーウィスキーが注目されたのは
2006年、ウィスキー専門誌Whisky Magazineのベスト・ジャパニーズ金賞にCard SeriesKing of Diamondsが選ばれたことからです。これには羽生蒸留所で蒸留されたウィスキーが使われているそうです。初めて見たとき、ウィスキーのボトルにトランプのラベルというのは印象的でした。Card Seriesは、樽材を変えたり、樽の大きさを変えたりした多くのCardがあります。トランプは53枚あるので、使い切るまでは、シリーズは続くのでしょう。


IMG_0083.JPGまた、今年は秩父蒸留所で蒸留が始まった
2008年に作られた原酒がやっと世界基準の3年間の熟成を経て、初めてシングルモルトウィスキーとして世に出されました。Ichiro’s Malt Chichibu The Firstです。おめでとう!これからも目が離せない蒸留所です。

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