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マデイラ・ワイン 1 Vinho da Madeira-1

マデイラはポルトガルの数あるワインのなかでも独特の個性が光る、伝統的なワインだ。その昔、赤道を越えるインド航路を周って帰ってきたワインが素晴らしくおいしくなっていたため、それを再現すべく考え出された熟成法がウルトラ長寿のワインをつくる。

 

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 2月半ば。やわらかな太陽のもと、真っ青な海に浮かぶ緑の島。マデイラはポルトガル領とはいえ、本土から1000キロも南下した、モロッコの方に近い、南の島だ。通常ならば春の陽気のはずなのだが、今年は異常に寒い。しかも雨までパラつく。それでも、晴れれば、昼間は16℃ぐらいにはなった。

 

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宿泊先はマデイラで一番由緒正しい「レイズ・パレス」。ウィンストン・チャーチルをはじめ、上流階級の人たちが多く滞在したホテルだ。部屋のベランダからはフンシャルの町と広がる大西洋が見渡せる。サイドテーブルにはデカンタに入ったマデイラ・ワインと地元特製スイーツ、「ボロ・デ・メル(黒いハチミツケーキ)とケイジャディニャ(チーズケーキ)」がセットされてあった。

 

マデイラ・ワイン

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 マデイラ・ワインは酒精強化ワインの一つだが、シェリーやポートとは異なる。ぶどう品種は黒と白を使う。黒ぶどうのティンタ・ネグラからは極辛口、辛口、中辛口、中甘口、甘口がつくられる。だが、白ぶどうは品種によって甘さのレベルが決まっている。セルシアルは辛口、ヴェルデーリョは中辛口、ボアル(ブアル)は中甘口、マルヴァジア(マームジー)は甘口だ。ティンタ・ネグラでつくる熟成期間の短いものは主にエストゥファジェンEstufagemという加熱タンクによって熟成を加速させる方法、白品種はカンテイロCanteiroと呼ばれる自然の熱でゆっくり樽熟させる方法がとられる。今でも19世紀のワインがすばらしくおいしく飲めるのはマデイラならではだ。

 まず、マデイラ・ワインの管理統制を行うIVBAMInsttituto do Vinho, do Bordado e do Artesanato da Madeira, I.P. マデイラ・ワイン・刺繍・手工芸品協会)を訪問。ワインには独立した協会が1979年に設立されていたが、2006年からはマデイラの歴史と伝統とオリジナリティを持った製品ということで、刺繍と手工業とともに、一つの協会によって統制されている。会長のパウラ・カバソさんは「マデイラ・ワインにとって日本はヨーロッパ以外では最大の市場です」と語った。2010年の統計では、フランス、ドイツ、英国に続いて日本は第4位。85%は輸出されているが、残りの15%も、多くはマデイラを訪れる観光客が買っていくという。

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 ぶどう栽培農家は1500軒ほど。マデイラ・ワインのメーカーは7社だ。自社畑を持っているのは1社だけ。どのメーカーも、一戸当たり平均3,000㎡という小さな畑を持つ多くの栽培者からぶどうを買っている。最近は白品種に力を入れていて、ここ10年間で新しい畑も増えているそうだ。

続く

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