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バーベイトのマデイラワイン Madeira Wine of Barbeito


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826日(月)、田辺由美さんのワインスクールでポルトガルのマデイラワインのセミナーがありました。ゲストはバーベイト社のリカルド・フレイタスさん。いつも、情熱を心に秘めて、誠心誠意マデイラを語ってくださる方です。

 今回はファミリーの歴史から始まりました。1905年生まれのお祖父さんが1946年にワイン・ビジネスを始め、それをお母さんが助け、継承し、91年にリカルドさんが入社して、現在に至っています。

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91年はバーベイト社にとって重要な年でした。日本の木下インターナショナル社が50%の資本投資を始めたことから、大改革が始まりました。リカルドさんは先頭に立って品質向上を図り、200811月には、全ての経験を生かした、新しいワイナリーをオープンさせました。

ご自慢はロボット・ラガールです。人間が足踏みでぶどうをつぶすのと同じ効果が期待できる機械です。ここで発酵も行われます。普通のニューマティック・プレスも使っていますが、ロボット・ラガールのワインは色が濃い!

マデイラ島はポルトガルの南、約1000km、モロッコから600kmのところにあります。そのため、新大陸へ行くにも、アフリカの喜望峰を通ってアジアに行くにも、必ず船が最後に立ち寄る地点になりました。イタリアの船もイギリスの船も、商品を積んで商売に行くのですが、マデイラ島まで来ると、ここで船に残ったスペースに積めるだけワインを積みこんで行きました。長い航海の末、残って戻ってきたワインは酸化していました。けれどもそれが素晴らしくおいしくなっていたため、再現しようと努力した結果、現在のマデイラワインのスタイルが出来上がったのです。

その方法としては、酒精強化したワインを加熱タンクで温めるエストファジェンと、樽に入れて自然に酸化熟成するのを待つカンテイロがあります。バーベイト社では5年熟成以上はすべてカンテイロ方式を使っています。

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今回は、ティンタ・ネグラ(TN)という黒ぶどう品種のワインで、加熱処理前のものと、3か月エストゥファジェンで加熱した2012年収穫のもの、5年熟成のもの(80%がTNで、酸味を補うためにセルシアルという白ぶどうを使用。酸味はマデイラワインの特徴で、リカルドさんは特に酸味を重要な要素として考えています。)、1997年収穫の単一畑のTNのシングルキャスクのものを試飲しました。最初はどれも写真の一番左のように、ぶどうジュースのようだったものが、熟成によって、大きく変わっていくのがわかりました。

その後は主要白ぶどう品種であるセルシア、ヴェルデーリョ、ブアル、マルヴァジアの10年熟成ものを試飲。

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最後に取っておきのマルヴァジア1834年を試飲させていただきました。これはリカルドさんのお祖父さんがワイン・ビジネスを始める時に買ったワインとのこと。2008年まで樽に入っていたものをデミジョンという大きな瓶に移しました。瓶に移すと酸化が止まるからです。それに、天使に分け前を取られることもなくなります。

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2時間で、加熱前の状態から19世紀前半のワインまで試させていただき、マデイラワインの長い歴史と、その底力を感じさせていただきました。

マデイラワインを見たら、そのボトルの中に詰まった大西洋の島の自然と人々の長年の努力に思いを馳せてみてください。グラス一杯から豊かさが感じられます。

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