「グラモナ」はジャウメとシャビエルのグラモナ兄弟が造る高品質のカバとスティル・ワイン、そして甘口ワインでも知られています。
ボデガはカバの都といわれるサン・サドゥルニ・ダノイアにあります。町角の行先案内標識と一緒にカバのボデガの名前が書かれた標識があちこちに立っているし、バルではカバを飲むのが普通だし、さすがです。
そんな町の小さな公園の先の横道に入っていくと、カバのボデガが一軒。そして、その隣にグラモナはありました。その名声からするとクラシックで控えめな入口です。
「グラモナ」の歴史は1850年、現グラモナ兄弟の高祖父、ジェセップ・バトレの時代に始まっています。その息子のパウの時、栽培したぶどうで造ったワインを、フィロキセラで畑が壊滅したフランスに向けて売っていたのですが、その売り先がスパークリングのメーカーでした。当時フランスまで送っても品質が保てたのがチャレロだったとのこと。バトレ家はカタルーニャの品種であるチャレロをベースにしてワインの質を向上していき、1881年、セレー・バトレ社を立ち上げました。その娘、ピラールがバルトロメ・グラモナと結婚。バルトロメの父、ジョセップ・グラモナは当時カタルーニャのワイン業界の要職に就いていた人だったこともあり、20世紀初め、社名をグラモナとし、カバを生産していました。
次の世代、バルトロミューとジョセップ・ルイス兄弟は長期熟成カバ造りに着手しました。最初の製品、IIIルストロス1951が市場に出たのは1961年でした。
こうして今、ジャウメとシャビエルの時代になり、2001年には新しいボデガを建設し、2011年からオーガニック栽培、2016年からは100%ビオディナミ栽培のぶどうを使っています。
グラモナの畑は、サン・サドゥルニ・ダノイアの校外にあります。北はモンセラットの山系に守られた地中海式気候のアルト・ペネデス地域です。見学に行った畑は平たんで、少し赤っぽい色をしていました。石灰質の粘土土壌です。他にはノイア川の沖積土の畑とか、粘板岩質の畑も少しあるそうです。ビオディナミなので、草と共存している姿が見て取れます。
ボデガには最新鋭の機材が充実しています。卵形のセメントの発酵槽と逆さま卵形のセメントの発酵槽と両方あり、横には木の桶、ステンレスタンクが並んでいます。さらにはアンフォラもあり、それぞれを畑とぶどう品種とによって使い分けています。
特に1800年代から大切にしてきたチャレロの扱いは特別です。ペネデス特異のDNAを持つチャレロ・ベルメルを復活させ、その発酵には卵形の発酵槽と素焼きのアンフォラを使っているそうです。
たくさんのボトルが眠る地下の熟成庫。カバの「インペリアル」のマグナムはルミアージュを手で行っています。熟成5年までのものはプラスチック栓を使いますが、それ以上のものはコルク栓を使っているので、デゴルジュマンは手作業です。その場所にはヤットコのような栓抜きが置いてありました。熟成期間の長いカバのドサージュに使うワインはシェリーのようなソレラ・システムで熟成した100年物のワインです。
カバ(カーヴのスペイン語)のなかには。このボデガのもとを築いたバトレ家の娘であり、グラモナ家との婚姻で現在に至る基礎を作ったピラール・バトレのパネルを掛けた古い大きな樽がありました。
試飲したワインは;
<3つのチャレロ、2014年ヴィンテージ>
1.
OVUM:セメントの卵形発酵槽使用。フローラル。
2.ROENT:フードゥルで発酵。チャレロ・ロハで造ったロサド。地中海のハーブの香り。
3.FONT JUI :フレンチ・オーク樽(新樽3分の1)で発酵。最初のビオディナミのワイン。フェンネルの香り。ボリューム感。
<3つのカバ>
1. グラモナ・インペリアル2010:チャレロ50%、マカベオ40%、シャルドネ10%。
2. IIIルストロス 2007 :前出のボデガ最初のカバ。チャレロ75%、マカベオ25%。150年前から一家が守ってきた、ノイア川近くのラ・プラナ畑のぶどう。コルク栓で熟成。全て手作り。オレンジ、バニラ、スパイスのような香り。クリーミー。
3.
グラモナ・グラン・レセルバ 2005 :チャレロ70%、マカベオ30%。素晴らしく滑らかな口当たり。アモンティリャードのような風味。
<甘口ワイン>
ゲベルツトラミナー アイス・ワイン:ライチやバラのような香り。