カナリア諸島のワイン Vinos de las Islas Canarias
2016/08/01

<カナリア諸島>

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カナリア諸島は7つの島で形成されています。東から、ランサローテ、フエルテベントゥーラ、グラン・カナリア、テネリフェ、ラ・ゴメラ、ラ・パルマ、エル・イエロ。すべてが火山島です。首都はサンタ・クルス・デ・テネリフェ。この島には、本土も含めたスペインの最高峰、3718mのテイデ山があります。

ランサローテ Lanzaroteは火山の噴火で積もった微小な炭の層に、あり地獄のような穴を掘って、ぶどうの樹を1本ずつ植えている畑が有名です。原産地呼称ランサローテ。

フエルテベントゥーラ Fuerteventuraは砂漠の島。美しい砂浜が続くビーチ・リゾートです。マホレロというヤギのチーズの産地ですが、唯一ワインができない島です。

 グラン・カナリア Gran Canariaは「大陸のミニチュア」と言われる島で、ビーチ、火山、緑の渓谷、砂漠、何でもあります。ワインは原産地呼称グラン・カナリア。チーズも。

 テネリフェ Tenerife島のテイデ Teide山は「テイデ国立公園」として世界自然遺産に認定されています。その周囲は全てワインの産地で、5つも原産地呼称があります。島の北部は緑が豊かで、タコロンテ・アセンテホ Tacoronte Acentejo、バーリェ・デ・ラ・オロタバ Valle de la Orotava、イコデン・ダウテ・イソーラ Ycoden - Daute - Isora3つの原産地呼称が。南部は砂漠地帯で、アボナ Abona とバーリェ・デ・グイーマルValle de Güímarがあります。

 ラ・ゴメラLa Gomeraは小さいながら、太古の原生林を残す中央部のガラホナイ国立公園がユネスコの世界自然遺産に認定されています。ワインも原産地呼称ラ・ゴメラが!

 ラ・パルマ La Palma はラ・イスラ・ボニータLa Isla Bonita(かわいい島とか美しい島とか)呼ばれるステキな島だそうです。この島だけまだ行っていないので語れません。

 エル・イエロEl Hierroは最西端の小さな島で、「地の果て」とか言われていたようですが、確かに、強風で髪が後ろに引っ張られたような形になった木があったりします。が、ワインは造られています! 原産地呼称エル・イエロです。

 

<グラン・カナリア>

 グラン・カナリアの首都はラス・パルマス・デ・グラン・カナリア。コロンブスが1492年、新大陸発見の旅へ向かった最初の航海、第2回目と第4回目の航海のとき立ち寄ったのがラス・パルマスでした。

ラス・パルマスはその名の通り、ヤシの木が生えているのですが、それより目立ったのがバナナ畑。この島は火山島ながら北岸は緑で覆われていて、標高の低い地域はバナナの栽培が盛んで、強すぎる太陽を避けるためのカバーがかかった畑と、自然に任せている畑があります。バス(カナリア諸島ではグアグアといいます)の運転手さんによると、カバーをかけていない方が味が濃くておいしいとのことです。

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今回は北側の山の中にあるチーズのメーカー、「コルティホ・デ・パボン」へ。羊のチーズの原産地呼称サンタ・マリア・デ・ギアを持っている手作りメーカーです。ここまで手作りなのを見たのは初めてでした。息子さんが絞ったミルクをお母さんがミルク缶の中で固め、型に入れたカード(固形分)は娘さん2人で、上に載って重石になる! 一家総出で造るチーズは、コクの中にやさしさがありました。

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グラン・カナリア島の中心にある1949mのピコ・デ・ラス・ニエベス山の山頂方面へ向かって登っていくと、道々、テネリフェ島のテイデ山が見えるのがカナリア諸島ならでは。昼食を食べたのはテヘダTejeda村のレストラン「Cueva de la Tea」。自家製の白ワインをいただきました。品種はわからないとのこと。



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同じテヘダ村にあるボデガ「ベンタイガBentayga」に向かいます。ベンタイガというのはボデガの目の前に見える、グラン・カナリアの象徴のごとくそびえたっている岩の名前。こんなところにぶどう畑があるはずがないと思われるような山奥です。けれども、くねくねとした細い山道を辿っていくと、ありました。緑の谷間に用水池と段々畑状のぶどう畑が見えてきました。ここはテヘダのカルデラ内にある標高1000m以上の地帯です。遠景にはテイデ山やごつごつした岩山がありますが、谷は一面の緑です。粘土質の火山性土壌で、水はけがよいのが特徴。年間降水量は700㎜。標高が高いため、寒暖の差が大きく、夏は38℃になる一方、冬はときに雪が降ったりします。また風が強く、日照時間が112時間もあり、病害虫が極めて少ないため、完全に有機栽培だそう。

現在ある10.5haの畑で栽培している品種はカナリア諸島が発見されたのちにヨーロッパ(主にスペイン)から持ち込まれたもので、フィロキセラが到達しなかったため、島々に残ったものです。リスタン・ネグロとリスタン・ブランコ、ビハリエゴ・ネグロとビハリエゴ・ブランコ、カステリャーナ、ティンティーリャ、バボソ・ネグロ、ネグラモルを主体に、アルビーリョ、モスカテル・デ・アレクサンドリア。白ぶどうは標高の高いところ、黒ぶどうは低いところに植えています。とはいえ、いずれも1000m以上。

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ボデガは1290mのところにあり、岩を掘って作られているためひんやりしています。迎えてくれたのは創設者の娘のサンドラ・アルマスSandra Armasさん。「もともとあった洞窟をさらに掘って広くして、樽熟や瓶熟のカーヴに使っています」とのこと。祖父の代は自家用ワインを造り、父の代で畑を整備し、3代目のサンドラさんたちが現代の嗜好に合った品質の高いワイン造りに臨んでいます。

醸造家はアナさん。樽からワインを試飲させてくれました。「フレンチ、アメリカン、ハンガリアン、いろいろな樽を試したけれど、今はフレンチオークが気に入っているの」とのこと。

 試飲したワインは白がAgala Altitud 1318。アガラAgalaとは先住民の言葉で高い山という意味。アルビーリョ・クリオーリョ、ビハリエゴ、モスカテルを使用。1318は畑の標高で、ヨーロッパで最も標高の高い畑だそうです。フルーティでフレッシュな辛口。酸とのバランスがよく、力強さもある。

 赤はAgala Altitud 1175。ビハリエゴ・ネグロ、ティンティーリャ、バボソ・ネグロ、リスタン・ネグロ。これはティント・バリカで樽熟34か 赤はAgala Altitud 1175。ビハリエゴ・ネグロ、ティンティーリャ、バボソ・ネグロ、リスタン・ネグロ。樽熟34か月。艶のある美しい色で、赤いベリーのような香り。バボソが与えるという酸とタンニン、苦みが程よく、飲み心地の良いワイン。

 

<テネリフェ>

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今回はテネリフェ島北部の原産地呼称イコデン・ダウテ・イソーラの中でも一番バーリェ・デ・ラ・オロタバに近いラ・グアンチャ村にある、ボデガス・ビニャティゴBodegas Viñátigoを訪問するために島の北岸を西に向かって、グアグアで移動。




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この辺りはドラゴという1000年以上も生きる木がある地帯で、イコッド・デ・ロス・ビノスという村にはドラゴを見られる公園があり、多くの観光客でにぎわっていました。が、その近くにワイン・ショップ「ムセオ・デ・マルバシアMuseo de Malvasía」を発見。裏庭にはパパイヤやバナナが成っていて、ここで自家製ワインとともにご馳走になりました。ここのワインはビノ・デ・カリダ・デ・ラス・イスラス・カナリアスVino de Calidad de las Islas Canariasという原産地呼称を持っていて、お勧めは「カタリーナ・セグンダ・セミドゥルセCatalina II Semidulce」という、ほのかに甘いマルバシアの過熟ぶどう100%で造ったものでした。


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ここから街道沿いのレストランへ昼食を取りに向かいました。外見はまったく何の飾りっ気もない食堂風の「エル・パラリートEl Palarrito」ですが、びっくりするほどおいしい料理を出してくれました。両親と息子たちで切り盛りしている店で、台所を仕切るのはお母さんです。新鮮な魚介類の扱いを知っているから引き出せる味、それは魚介類のおいしさが分かる日本人にとって最高の味でした。

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このレストランを紹介してくれたのが「ボデガス・ビニャティゴBodegas Viñatigo」のフアンJuan Jesús Méndez Siverioさんです。彼はテネリフェの地場品種で高い品質のワインを造り出そうという努力をしていて、大変興味深い試みをしています。発酵槽は木やセメント材も含め、様々なタイプのものがあります。さらにボデガの一角にはソレラと書いた樽が。これは1697年ヴィンテージのワインを2008年ヴィンテージのワインで補充していくという方法です。2008年の樽は新しいワインで補充します。現在のところ樽が3つだけ。今後が楽しみな、古くて新しい、興味津々のプロジェクトです。


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先のレストランでは白のリスタン・ブランコとグアルを飲みましたが、ボデガのショップには白ワインではマルマフエロ、ビハリエゴ・ブランコ、マルバシア・アロマティカ・アフルタド、マルバシア・アロマティカ・クラシコ、赤ワインではネグラモル、ビハリエゴ・ネグロ、ティンティーリャ、バボソ・ネグロ、それぞれ単一品種ワインを売っています。試したものはいずれも個性的で、面白さ抜群です。

 なかに、ラベルにBN+T+VN+NMと書いてあるエンサンブラへ、つまりブレンドタイプの「ビハリエゴ・エンサンブラヘ・ティントViñátigo Ensambraje Tinto」というワインがありました。バボソ・ネグロ+ティンティーリャ+ビハリエゴ・ネグロ+ネグラモルのブレンドです。スペイン本土では見かけることがない品種ですが、絶妙なブレンドで、バランスの良い、とてもおいしいワインでした。

 

カナリア諸島のワインは、まだあまり日本に入ってきていませんが、個性ある、本質の高いものが造られています。目にしたら、ぜひ試してみてください。

 


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