サモラの建築家のワイン Vino del Arquitecto de Zamora
2016/11/22

 サモラという町があります。マドリードの北西、カスティーリャ・イ・レオン州のなかでもポルトガルの北東の角を囲むような位置にあるのがサモラ県。その首都がサモラです。

 スペイン人のグルメの間ではサモラと言えば、チーズのケソ・サモラーノQueso Zamoranoが挙げられます。そしてワインでは、最も有名なのがD.O.Pトロ Toroですが、他にD.O.P.ティエラ・デル・ビノ・デ・サモラ Tierra de Vino de ZamoraD.O.P.アリベス ArribesD.O.P (Vino de Calidad con Indicación Geográfica)バーリェス・デ・ベナナベンテ Valles de Benaventeがあります。ただ、サモラのバルで「地元のワイン」を頼むとトロのワインが出てきます。

 

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今回訪問したのはトロのボデガ「クアトロ・ミル・セパスBodegas Cuatro Mil Cepas」です。Booking.comで見つけたホテルのオーナーが偶然このボデガのオーナーだったからです。 しかもこのオーナー、フランシスコ・ソモサFrancisco Zomozaさんは建築家で、サモラの町の復興計画のリーダーとしてサモラ城を修復し、街路の整備をし、歴史ある修道院が蒸留工場として使われた後、放置されていたものをホテルに改築したことでも知られた人でした。ということでサモラの町の歴史から建造物まで案内していただき、トロのボデガを見学させていただきました。

 

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D.O.P.トロはティンタ・デ・トロという独自の品種で知られています。リオハのテンプラニーリョ、リベラ・デル・ドゥエロのティント・デル・パイスなどと同じ品種と言われていますが、トロの原産地呼称統制委員会は「起源に関する情報はほとんどないが、地場品種」として紹介しています。この地域でもローマ時代からワインは盛んに作られていて、新大陸への航海にも持っていかれていたとのことです。1870年にフィロキセラ禍が来ますが、トロの地域は土壌が砂質で水はけが非常によく、害を受けませんでした。そのため現在でも接ぎ木なしの畑が維持されています。


 年間降水量350400mm。内陸のため寒暖の差が激しく、冬は非常に寒いですが、年間の日照時間は26003000時間に至るという、ワイン用のぶどう栽培には向いた地域です。

 

「ボデガ・クアトロ・ミル・セパス」はスペイン語で4000本のぶどうの樹という意味を持っています。この名は最初に入手した畑にぶどうの樹が4000本植わっていたことに由来します。フランシスコ・ソモサさんとマイロさん、サンチェス・モンヘさんの3名が、2008年、古い畑のぶどうを使って品質の高いワインを少しだけ造ろうという意図をもって始めたプロジェクトで、ボデガはサモラの町の東、原産地呼称トロの認定地域内では南に位置するエル・ペゴという村にあります。

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畑を案内してくれたのは醸造家のエステバンさん。「畑の管理からワイン造りまで、全部引き受けています」とのこと。見に行った畑は標高800mのところにありました。土は手で握りしめても、開くとハラッと崩れるような砂質です。そこに株仕立てのぶどうの樹が一本一本、大きく枝を広げています。葉の下を覗くと、摘み残しのティンタ・デ・トロの房がありました。黒っぽい青紫色の実が詰まっていました。


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ボデガは村の中の普通の小さな家のような感じでした。規模からしてもガレージメーカーと言っていいでしょう。ただ、こだわりはしっかり持っています。発酵タンクは小さいものがいくつかありますが、片隅に四角い小さなステンレス製の槽が。これも発酵槽です。ポートワインを造るときに開放型の発酵槽を使いますが、それと同じです。船の櫂のようなものでかき混ぜるのですが、すべてが手作業なので、重労働で、エステバンサンが担当しています。

 「クアトロ・ミル・セパス」のワインは「ディスコロDíscolo」といいます。ティンタ・デ・トロ100%。2012年ヴィンテージはフレンチ・オークとアメリカン・オークで15カ月熟成しています。サモラの町のバルで飲んだ「ディスコロ」はフルーティさがあって、すらっとエレガントでした。もう一つ、もと蒸留工場だったホテルのレストランでフランシスコさんが開けてくれたのが「エル・マグニフィコEl Magnífico 2009年」。750mlボトルを358本、1500mlボトルを98本しか造らなかった逸品です。まろやかな口当たりと繊細な複雑みが素晴らしいワインでした。

建築家のデザインするトロは、モダンな、センスのいいワインでした。 

 

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