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ボバルinウティエル・レケーナ-2 Bobal en Utiel-Requena-2

5月16日(火)

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この日はレケーナから北へ向かって「シエラ・ノルテSierra Norte」を訪問。原産地呼称ウティエル・レケーナとビノ・デ・ラ・ティエラ・デ・カスティーリャと原産地呼称フミーリャにボデガを持つ会社ですが、今回は醸造家のマピ・ドミンゴMapi Domingoさんと、ジェネラル・マネジャーのマノロ・オルモ Manolo Olmoさんと共に、レケーナのなかのカンパロブレス村の畑へ。
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真ん中に大きな樹が立っているのが目印です。標高900~920m。20Haに樹齢70年以上のボバルが植えられています。石ころで覆われた石灰質の砂質土壌で水はけがよく、オーガニック栽培しています。「パシオン・デ・ボバルPasión de Bobal」にはロサドとティントがあり、いずれもきれいな酸があって飲みやすいタイプ。ラベルにハートの生る木の絵が描いてあることもあって、輸入元さんによると、「バレンタインデーにはすごくよく売れます」とのこと。
 
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次のボデガ「アランレオンAranleón」は原産地呼称バレンシアのワインも造っています。オーナーのマリア・サンチョMaria Sanchoさんと醸造と栽培を担当するノエミ・アローヨNoemi Arroyoさんと共にテイスティング。かたつむりをデザインしたおしゃれなラベルの「ソロSólo」はこのボデガが最初にボトリングしたワインで、2003年がファーストヴィンテージ。「カタツムリのようにゆっくり着実に前進しよう」というメッセージが込められています。赤はボバル80%、テンプラニーリョとシラーが10%ずつ。モダンでスマートなワインです。1927年からあったボデガを2000年に買い取ったため、新築のボデガのほかに、1880年に建てられた古い家があり、セメントの発酵槽の内部の天井にカラフルなタイルが貼ってあるのを貯蔵熟成庫に使ったり、ワインを流すタイル張りの溝を残したりして、昔の雰囲気を生かしています。畑は現在オーガニックからビオディナミへの登録変更中とのこと。www.aranleon.com

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午後は「ベラ・デ・エステナスVera de Estenas」へ。ベラは岸の意味、エステナは川の名前。このボデガが、エステナ川がマグロ川に流れ込む谷にあることから付いた名称です。
 1981年、O.I.V.(= Office International de la vigne et du vin国際ぶどう・ぶどう酒機構)の会長を務めるなど、スペイン醸造業界の重鎮であるフランシスコ・マルティネス・ベルメルFrancisco Martínez Bermell氏が数々の名誉ある地位を辞して、始めたのが「カサ・デ・ドン・アンヘルCasa de Don Ángel」という、現在の「ベラ・デ・エステナ」のもとになったボデガです。今も使われている建物は、1919年建造のモデルニスタ様式です。彼はバレンシア地方に最初にフランス品種を導入した人でもあり、それまでバルク輸出が主だったこの地域のワイン産業を、ボバルという地元品種の力を発揮させ、質の高いワン産地に変えるべく率先して努力した人でした。
その遺志を継いだのが、現在のこのボデガのオーナー兼醸造家である、息子のフェリックス・マルティネス・ロダFélix Martínez Rodaさんです。

F21.DSC_4805.jpg所有する畑は石ころ交じりの、石灰分を多く含んだ粘土質の土壌で、地下12~14mにウティエル山からの伏流水が流れているという条件で、独特の個性を持ったボバルが生まれます。

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なかでも80年以上の古木を使い、ボバル100%で造るのが「カサ・ドン・アンヘルCasa Don Ángel」です。1998年から造り始めたもので、作柄の良い年にしか造らず、瓶熟させています。今回は2000年、2006年、2012年を試飲させていただきました。「ボバルといえば?」と聞かれたら、「繊細でエレガント!」と答えられるのがフェリックスのワイン。2012年の生き生きした色と奥に潜む果実味。2006年の豊かな香りとフレッシュでソフトな口当たり。2000年の熟成感とまろやかで柔らかい風味。ボバルの持つ酸味と果実味が上手にコントロールされて生かされています。

他に「エステナス」のシリーズに、ボバルをブレンドしたものがありますが、ボバル単一では「エステナス・ロサド・ボバル・バリエタルESTENAS Rosado Bobal varietal」があります。http://veradeestenas.es/
 
次は「ビティゥルトーレス・デ・サン・フアンViticultores de San Juan」。
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ボデガに入るといきなり目に飛び込んでくるコンクリートにタイル張りの発酵槽。壁には「ボバル・デサンジフアンBOBAL deSanjuan」のポスター。ここは「サン・フアン・バウティスタぶどう栽培者協同組合Cooperativa de Viticultores San Juan Bautista」 がボバルのワインを造りたいという意図のもとに進出してきた「チェルビノ・バルサンジアコモCherubino Valsangiacomo」社を受け入れたプロジェクトです。1831年スイスで設立されたワイン会社で、創設者の息子がバレンシアとアリカンテにワインの輸出会社を創設したことからこの地域への進出が始まりました。ボバルのプロジェクトは5代目のアーノルド・バルサンジアコモさんが3人の仲間と始めたもので、サン・フアン村の協同組合がなければ成り立っていなかったといいます。
その理由の一つが組合員である栽培者が灌漑なしの株作りの古い畑を持っていたこと。しかも全栽培面積の95%がボバル。もう一つは協同組合のボデガにあった70個のセメントの発酵槽。ボバルの特性を発揮できるのはこの素材だとみています。これにチェルビノ・バルサンジアコモ社の技術と経験を加えれば素晴らしいボバルのワインができるはず、というストーリーです。
 「ボバル・デ・サン・フアンbobal deSanjuan」2015年ヴィンテージ古木を使ったもので1年間セメント槽で熟成したもの。2013年ヴィンテージは1年間のセメント槽熟成の後に500リットル樽で1年熟成。http://www.valsangiacomo.es/

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