ボバルinウティエル・レケーナ-1 Bobal en Utiel-Requena-1
2017/09/21

 ボバルという黒ぶどう品種をご存知ですか? アイレン、テンプラニーリョに次いで、スペインで3番目に多く栽培されている品種です。にもかかわらず知名度が低いのは、この品種、かつては色の濃い、アルコール度の高いワインができるということで、日照に恵まれないワイン生産国にバルクで大量に売られていたりしたため、表立って名前が出てこなかったからです。けれども今、このボバルで素晴らしく洗練されたおいしいワインが造られています。 

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ウティエル・レケーナ

中心になる産地は地中海沿岸地域のバレンシア州の内陸地域にある原産地呼称ウティエル・レケーナとマンチュエラです。今回は5月に訪問したウティエル・レケーナをご紹介します。

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ウティエル・レケーナには2700年のワインの歴史があります。紀元前7世紀ごろのフェニキア時代のアンフォラの破片が発見されていたり、彼らが先住民のイベロ人たちの村に作った石のぶどう踏み場、ラガールlagarがある遺跡「ラス・ピリリャスLas Pilillas」が残っていたりします。

 地中海から70kmほど内陸に入った地域で、フーカル川の支流マグロ川とカブリエル川に挟まれた標高700~900m地帯。年間降水量480mmで、地中海性気候と内陸性気候の影響を受けています。沖積土壌と石灰岩に粘土質の堆積土壌です。

 


ボバル

この原産地呼称で使用が認定されている品種は、テンプラニーリョ、ガルナチャ・ティンタ、ガルナチャ・ティントレラ、カベルネ・ソーヴィニヨン、メルロー、シラー、ピノ・ノワール、プティ・ヴェルド、ガベルネ・フラン、そしてボバル。認定地域のぶどう栽培面積の約95%を黒ぶどう品種が占め、なかでもボバルは全体の85%を占めています。まさにウティエル・レケーナは「ボバルの地」と言っていいでしょう。

 ボバルのワインの特徴としては濃い色、熟成に適したタンニン、しっかりしたボディがあること、そしてきれいな酸味を持っていることが挙げられます。さらに、レスベラトロールというポリフェノールの一種で、老化抑制や抗癌性の効果が期待できるといわれる成分を多く含んでいるという測定結果が出ています。

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ボデガ訪問記

5月15日(月)

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最初のボデガは「セロ・ガジーナCerro Gallina」。迎えてくださったのはオーナーのサンティアゴ・ベルニアSantiago Verniaさん。樹齢100年に至る古い畑を入手し、ファーストヴィンテージ2008年を2010年に発売しました。「うちは、これ一本しか造っていません。」黒いボトルに黒いラベル。真ん中にシンプルな花。全然飾らない、いさぎのいいプレゼンテーションはボデガの心意気です。最初の訪問先、「セロ・ガジーナ」で、ボバル100%、根性ある力強いワインと出会えて、大地の力を感じさせられました。ヴィンテージ違いが楽しめるポテンシャルの高いワインです。www.cerrogallina.com

 

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2軒目は「フィンカ・サン・ブラスFinca San Blas」です。「畑はすぐそこです」と言われて歩き出したものの、晴天のバレンシア内陸の日照の強さは半端ではなく、道のりの遠いこと。。。でも、その先にはアマポーラの花が美しく映えるぶどう畑が!そして畑の真ん中の大きな木の下でテイスティング。やはり、ここのボバルといえば、アマポーラの花のラベル、「フィンカ・サン・ブラス・ボバルFinca San Blas Bobal」です。醸造家のラファエル・パルドRafael Pardoさんによると、このボデガではボバルはマイノリティで、ボバル100%のワインをボトリングしたのは2011年から。樹齢80年以上の樹を使い、色はもちろんのこと、酸味もタンニンもしっかりしたワインにするので、瓶熟6~7年はできるとのことです。www.fincasanblas.com

 

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午後はまず「パゴ・デ・タルシス Pago de Tharsys」へ。「大地と太陽:個性ある畑 Tierra y sol: Un Pago con carácter」とタイトル付けしているボデガです。オーナーのビセンテ・ガルシアVicente Garcíaさんは微生物学者で、フランスやガリシアやカタルーニャで経験を積み、先祖伝来のレケーナの土地で2002年にボデガを始めました。現在ビノ・デ・パゴの認定待ちで、この地域のボデガにはよくあることですが、原産地呼称ウティエル・レケーナ、原産地呼称カバの3つのカテゴリーでワインを生産しています。畑はオーガニック。「ボバルは純血種の馬のようなもので、飼い慣らすのは難しいが、一旦慣らせば素晴らしい」と、ボバルに力を入れています。「パゴ・デ・タルシス・ボバルPago de Tharsys Bobal」と「アカデミア・デ・ロス・ノクトゥルノスAcademia de los Nocturnos(夜間学校)」はボバル100%の赤。他にはないお勧めは、ボバルから造るブラン・ド・ノワールのスパークリング「テルシス・ウニコTharsys Único」。フレッシュでスパイスやハーブの香り、クリーミーな口当たりでボリューム感もあります。ボバル特有の酸が筋を通しているのが魅力です。http://pagodetharsys.com/

 

 宿泊は原産地呼称ウティエル・レケーナ統制委員会があるレケーナ。中央広場の地下にはかつてワインを造ったり保存したりしていたボデガが縦横に走る洞窟で、巨大なアンフォラがいくつも並ぶ様は圧巻です。

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因みに原産地呼称は1957年認定で、統制委員会が入っている建物はエッフェルの弟が1891年に設計した円形のボデガを使っています。丸い空間の中央部に柱がないのが特徴で、1869年にエッフェルが設計した、シェリーのメーカー、ゴンサレス・ビアス社のボデガ「ラ・コンチャ」と似ています。

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