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エノフシオンemofusión 2018

毎年1月末にマドリッドで開催されるガストロノミー・フェア「マドリッド・フシオンMadrid Fusión」。今年は1月22日から24日までの3日間でした。日本食ブームはまだまだかなりな勢いで、今年は日本酒専門ブースもありました。また今年はロシアもフィーチャーされていて、ブースにはファナゴリアFanagoriaというワイナリーの製品も並んでいました。

「エノフシオンenofusión」は「マドリッド・フシオン」の会場と混在しているワイン・イベントです。食関係のブースの間にボデガのブースがあったりしますが、メインは2か所に分かれたワインのフリーテイスティングゾーン「エノ・バル」と、その周囲に出展されているボデガのブースです。

今年はカスティーリャ・ラ・マンチャ地方の全原産地呼称が出展していました。アルマンサAlmansa、ラ・マンチャLa Mancha、マンチュエラManchuela、メントリダMéntrida、モンデハルMondejar、リベラ・デル・フーカルRibera del Júcar、ウクレスUclés、バルデペーニャスValdepeñasの8か所です。

 

小さなボデガが集まって出店したブースにはゲタリアコ・チャコリーナのスドゥガライZudugaraiというチャコリのボデガや、ヘレスでパロ・コルタドだけを熟成しているアルフェArfe、カナリア諸島の火山灰の島ランサローテのエル・グリフォEl Grifoなど、個性がいっぱい詰まっていました。

 

「エノフシオン」はワイン・フェアとしてみると小規模です。けれどもセミナーが充実しています。今回も毎日6回のテイスティング・セミナーが開催されました。

入場できたのは次のセミナーでした。

マルケス・デ・リスカルの古い畑 El viñedo antiguo de Marqués de Riscal

1858年にリオハで創業したウエルタス・デ・アメサガHuertas de Amézaga一家が現在も担いつつ進化するボデガ。1972年にはルエダで白ワイン造りを開始し、ルエダの革新に貢献。今回は息子のルイスがルエダを語り、父のフランシスコがリオハを語る。「古い畑」とは1970年以前に植えたものとのこと。

ある風景の味/リベイラ・サクラ・テイスティング El sabor de un paisaje, cata de la DO Ribeira Sacra

ガリシア地方の内陸部、シル川とミーニョ川の流域の2,500haの畑は、最大傾斜度86%まであるという、ほぼ断崖絶壁のような山肌まで利用して作られています。手つかずの自然に囲まれた環境で造られる、「ガリシア人の心の奥底にあるものを表現したワイン」という表現が印象的でした。

トレドのワインとジビエ、テイスティング・ハーモニー Vino y Caza en la provincia de Toledo, cata armonizada

トレドといえば世界遺産の古都として有名ですが、それはタホ川に囲まれた都市部で、川の外側にはカスティーリャ・ラ・マンチャ地方の一部としての別の顔があります。ワインは1本ガルナチャ100%の1本以外、全てフランス品種が使われた、モダンなタイプで、シカやイノシシの肉との組み合わせは体力付きそうな感じでした。

謎を解く/ゴンサレス・ビアスとそのパロ・コルタドDesvelando el misterio, González Byass y sus Palos Cortados

シェリーの中でも最近人気のタイプ、パロ・コルタドは、その造り方というか、でき方が「謎」とされています。それをティオ・ペペのメーカー、「ゴンサレス・ビアス」社のチーフ・ブレンダー、アントニオ・フローレスAntonio Floresが、同社の古文書に現れる表記に則って語りました。「1863年にオロロソ・フィノという表記がパロ・コルタドのマークとともに記されています」とのこと。試飲は12年熟成のレオノール、シングル・ヴィンテージ94年、87年、78年、67年、そして30年以上熟成のアポストレスでした。

ガリシアのブドウ品種のエッセンス La esencia de las variedades gallegas, cara a cara atlántico entre pazo As barreiras y Carlos Villanueva

ロウレイラ、トレイシャドゥーラ、アルバリーニョ、ゴデーリョの4品種を使ったワインの試飲。

カン・サラの垂直試飲とサラカインの創作料理 Cata vertical Cana Sala armonizada con las creaciones de Zalacaín

カバの最大手メーカー、フレシネ所有の「カン・サラCan Sala」は1914年、フレシネのカバ造りが始まったところ。1999年に改築し、「カン・サラ」ブランドのカバ造りを開始。2017年からはカバ・デ・パラヘ・カリフィカドに認定。ファースト・ヴィンテージの2004年から、2005,2006,2007を、マドリッドの有名レストラン、サラカインの創作料理とともに試飲。

ワイン・女性の魂/グラスの女王たちEl vino, Alma de mujeres – Reinas de copas

このところワイン業界で女性の活躍が目立っています。サラ・ペニャスはヘレスの「ディエス・メリトDiez Merito」のシェリーを、「ゴンサレス・ビアス」のマリーナ・ガルシア・ゴンサレスは同社がカディス県に持つボデガ、「フィンカ・モンクロアFinca Moncloa」から、地場黒品種ティンティーリャ・デ・ロタを使ったワインを、アンヌ・ジョセフィーヌ・カナンはプリオラトの「クロス・フィゲラスClos Figuerras」の赤ワインを紹介。試飲会場にはシェリー業界で活躍する女性の写真が飾られていました。

マリアノ・ガルシアに手になるリベラ一帯の様々なテロワール Un recorrido por el Duero y sus variados terruños de la mano de Mariano García (Premio enofusión a la trayectoria 2018)

カスティーリャ・イ・レオン州を流れるドゥエロ川流域で長年上質ワインを造り続けてきた醸造家マリアノ・ガルシアmariano Gacíaの功績を称えて、エノフシオン賞が授与されました。試飲は、トロのプリマPrima 2015年、トゥデラ・デ・ドゥエロのマウロMauro 2015年、リベラ・デル・ドゥエロのガルモンGarmón 2015年、トロのサン・ロマンSan Román 2014年でした。

火山の味:カナリア諸島のワインとチーズ Sabores del volcán: Vinos y quesos de Canarias

新大陸発見の年、1492年、カナリア諸島にはイベリア半島からブドウの樹が持ち込まれました。以後フィロキセラもこの島々には到達しなかったため、今でも自根でブドウが植えられています。試飲はD.O. アボナAbonaの「ビニャ・アレセViña Arese」の白、D.O.バーリェ・デ・グイーマルValle de Güímarの「ブルーマス・ダヨサBrumas Dayosa」 の白、 D.O.アボナの「パゴス・デ・レベロンPagos de Reverón」のロゼ、D.O.タコロンテ・アセンテホTacoronte Acentejo の「マルバ Marba」の赤、D.O.アボナの協同組合「クンブレス・デ・アボナCumbres de Abona」の甘口白「テスタメント・マルバシア・エセンシア Testamento Malvasía Esencia」。チーズはラ・パルマ島のパルメロ、フエルテベントゥーラ島のマホレロ、グラン・カナリア島のフロール・デ・ギアでした。

 

また、新しい試みとして、ワイン・コーナーと称するスペースで、ワイン1本をスタンディング形式で紹介するミニ・テイスティング・セミナーが行われました。手軽で、空いた時間にたまたまセミナーをしていれば入れるのがうれしいセッティングでした。

 

巨大なワイン・フェアは疲れるという方にはお勧めです。ただ、通訳はありませんのでご了承ください。

 

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