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DOPウティエル・レケーナのボバル Bobal de la DOP Utiel Requena

3月5日(火)から8日(金)まで幕張メッセで開催された「FOODEX JAPAN 2019」では、例年のように世界各国から様々な食品の展示があり、ワインも多くの国から出展されていました。

スペイン・バレンシア州の内陸に位置する原産地呼称ウティエル・レケーナ DOP Utiel-Requena主催で、その代表的な土着の黒ブドウ品種「ボバルBobal」をテーマにしたマスタークラス(3月7日13:00~14:00開催)のオーガナイズをさせていただきました。

ICEX/スペイン大使館経済商務部協力のもと実施された今回のマスタークラスでは、テイスティングをミシュラン2つ星レストラン「サンパウ東京」のシェフ・ソムリエ、菊池貴行さん Sr. Takayuki Kikuchi-Chef Sommelier del restaurante “Sant Pau Tokio”、にお願いしました。

統制委員会のブレンダ・メレロBrenda Meleroさんからのご挨拶の後、私、明比淑子Yoshiko Akehiが原産地ウティエル・レケーナとテーマのブドウ品種「ボバル」の説明をさせていただき、菊池さんのテイスティングの後、統制委員会会長のホセ・ミゲル・メディナ・ペドロンJosé Miguel Medina Pedrónさんに〆のご挨拶をいただきました。

<DOPウティエル・レケーナUtiel Requena>

ウティエル・レケーナは、スペインで原産地呼称法ができた1933年のすぐあと、1936年に原産地呼称に認定された歴史あるワイン産地です。その起源は2700年前、紀元前7世紀にさかのぼります。

スペインにワイン造りを伝えたのは地中海の東の端から海を渡って交易をしていたフェニキア人Feniciosたちでした。西欧最古の都市といわれるカディスに上陸しブドウ栽培とワイン造りを伝えたのが紀元前1100年ごろと言われています。その後、現在のシェリーの産地にある「ドニャ・ブランカの遺跡 Yacimiento de Doña Blanca」と呼ばれる紀元前8世紀からのフェニキアの遺跡群のなかの、紀元前3~4世紀の部分で発掘されたラガール(ブドウ踏み場)に見られるように、イベリア半島にブドウ栽培とワイン造りが伝わりました。また、ウティエル・レケーナの地にある「ラス・ピリリャスの遺跡Yacimiento de Las Pilillas」でも、フェニキア人が伝えたワイン造りの遺跡、巨大な石灰岩をくりぬいて作られたラガールが発見されています。当時、フェニキア人は現地の先住民にブドウ栽培とワイン造りを教え、自分たちは交易に精を出していました。こうしてイベリア半島にはワイン造りの技術が根付き、今に至っているのです。

ウティエル・レケーナは地中海から70㎞程内陸に入った地域で、地中海性気候と内陸性帰国の影響を受けています。平均標高750mの台地で、年間降水量は平均480mm。乾燥しているため病害虫が少なく、登録されていないケースが多いですが、実質的にオーガニックの栽培者が多くいます。土壌は沖積土、石灰質、粘土質、砂質、石ころの多い土壌など様々で、この地域を流れるフーカル川の支流、マグレ川とカブリエル川からの距離によっても条件が異なってきます。また、フィロキセラも寄り付きにくい標高の高い砂質土壌の地域もあり、各生産者はそれぞれの畑のテロワールを生かしたワイン造りをしています。

<ボバルBobal>

ウティエル・レケーナの主要黒ブドウ品種ボバルは、隣接するカスティーリャ・ラ・マンチャ州のマンチュエラやリベラ・デル・フーカルでも主要品種に挙げられています。ただ、ここの場合、ブドウ栽培面積34,312ヘクタールの74%がボバルです。しかもその半分が樹齢40年以上。ワイン生産が主要産業のこの地域では、品質の高いブドウの生産を維持していくため、若い世代が畑を引き継ぎ、古い畑が維持されています。

ボバルは実の皮が厚く、硬く、タンニン、アントシアニンといったポリフェノールを多く含み、酸味の強い品種です。そのため、生産者はこの特性を上手に生かすべくワイン造りをしています。またレスベラトロールresveratrolという心臓血管系機能に良い作用をもたらし、老化抑制、抗がん性効果も望める成分を多く含んでいることが発表されています。

スペインの数ある地場品種のなかでも、とてもポテンシャルの高い品種ですので、ご注目ください。

<ボバルのワインのテイスティング Cata de los vinos de Bobal>

試飲アイテムは7社から7点。

  1. 1. CHERUBINO VALSANGIACOMOチェルビノ・バルサンジアモコ

www.valsangiacomo.es

www.cherubino.es

Twitter: @valsan1831

facebook @VALSAN1831

3.COVIÑAS コビニャス

www.covinas.es

Twitter @BodegasCovinas     https://twitter.com/BodegasCovinas

Facebook @bodegas.covinas     https://www.facebook.com/bodegas.covinas

Instagram bodegas_covinas https://instagram.com/bodegas_covinas/

Blog: http://covinas.com/blog/

4.BODEGAS VIBE ボデガス・ビベ

www.bodegasvibe.com

Facebook と instagram

5.VERA DE ESTENASベラ・デ・エステナス

www.veradeestenas.es

6.DOMINIO DE LA VEGA ドミニオ・デ・ラ・ベガ

www. dominiodelavega.com/es/

7.BODEGAS JIMÉNEZ-VILA HNOS. ボデガス・ヒメネス−ビラ・エルマーノス

www.jimenezvila.es

Facebook

8.HACIENDA Y VIÑEDOS MARQUÉS DEL ATRIO

アシエンダ・イ・ビニェードス・マルケス・デル・アトリオ

www.marquesdelatrio.com

 

☆8社8点の試飲のはずでしたが、2番目に予定いていたトーレ・オリアTorr Oria社のビニェド・アンティグオ・ボバルViñedo Antiguo Bobalはサンプル・ワインが到着しなかったため省略しました。

 

<ボバルのマリアージュMaridaje entre Bobal y Anguilas a la japonesa tradicional >

 ドミニオ・デ・ラ・ベガDominio de la Vegaのワインと鰻のマリアージュを試す機会に恵まれました。会場は、創業200年の鰻料理専門店「駒形前川」の新しい店舗、東京駅前の「新丸ビル店」Restaurante de anguilas «Komagata Maekawa» en Shin-Marubiru。http://www.unagi-maekawa.com/shop/shinmaru.html

色とりどりの旬の八寸にはカバ、お造りと鰻の白焼きにはソービニョン・ブランの「レクエルダメRecuérdame」、小鉢の豚の八幡巻には樹齢40年のボバル100%の「アニャカルAñacal」、続いて酢の物のうざく、メインの鰻重と肝吸いへ。合わせるワインは「パラヘ・トルネルParage Tornel 2015」という、標高750メートル、粘土質・石灰質土壌の同名の畑で栽培された、樹齢60年の株仕立てのボバル100%で造られているワインです。フレンチ・オークとアメリカン・オークで12か月樽熟後、瓶熟したものです。豊かさがあり、酸とのバランスが良いワインで、秘伝のタレを使った、しっかりした風味を持つ鰻によく合います。

 

ウティエル・レケーナに関しては、2017年に訪問した際のレポートをこのサイトにアップしていますので、合わせてご覧ください。

https://www.vinoakehi.com/2017/09/inbobal_en_utiel-requena.html

https://www.vinoakehi.com/2017/09/in-2bobal_en_utiel-requena-2.html

https://www.vinoakehi.com/2017/09/in-3bobal_en_utiel-requena-3.html

 

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