BLOG

FENAVIN 2019 -1

FENAVIN(フェナビン)はスペインの中央南部を占めるカスティーリャ・ラ・マンチャ州の州都シウダド・レアルで隔年に開催される国内ワイン展Feria Nacional del Vinoです。出展がスペイン・ワインに徹しているのが大きな特徴と言えます。今年は5月7日、8日、9日の3日間開催されました。

FENAVINは、2007年に「Una Vida Dedicada a la Defensa del Vinoワイン擁護に捧げた人生」という賞をいただいたときから、前回以外、毎回訪れていますが、今回は一段と規模が大きくなっていたように感じました。主催者側は、ビジネスの場としての成功を大アピール。その発表では、18,340名のバイヤーが来場し、うち海外からの参加者は4,225名とのこと。出展したボデガは1946社。来場者数48,898名、諸機関代表者1,963名、国内ジャーナリスト3,066名、海外ジャーナリスト753名、などなど、数値は大変なものでした。

<ワイン・ギャラリーGalería del Vino>

FENAVINではワイン・ギャラリーGalería del Vinoという、ワインを自由にテイスティングできるコーナーを設けています。今回は1200以上のワインが、スパークリング、スティルといったカテゴリー別に分け、その中で白、ロゼ、赤といったグループに分け、その中をさらにヤングワインから熟成タイプ順に分けるといった、細かい分類がなされていました。またこのところ多いオーガニックもグループ分けされていました。ここで興味のあるタイプを試し、気に入ったワインのメーカーのブースを訪問することができます。

 

 

<様々なテーマのプレゼンテーションPresentaciones con temas variadas>

同じ階にはレクチャー・ルームが5つあり、毎日、テイスティング・セミナーだけでなく、文化とワイン、ワインと健康と社会、対外ビジネスと経済といった多岐にわたるテーマで、数多くのプレゼンテーションがありました。

今回、私が参加したのは、注目度が高まってきているボバルBobalという品種をテーマにした、8日の16:00からの「リベラ・デル・フーカル、マンチュエラ、ウティエル・レケーナのボバルのワインLos Vinos de la Bobal en Ribera del Júcar, Manchuela y Utiel-Requena」というテーマの試飲セミナー。ボバルは地中海沿岸地域のバレンシア州の内陸にある原産地呼称ウティエル・レケーナ、隣接するカスティーリャ・ラ・マンチャ州にある原産地呼称リベラ・デル・フーカルと原産地呼称マンチュエラで栽培される黒ブドウ品種です。品種は同じでも異なった原産地呼称を持つワインを比較試飲できる機会はあまりありません。ガイド役は醸造家で、長年スペイン・ワイン業界で事業の国際化にコンサルタントをしてきたマリア・アントニア・フェルナンデス・ダサMª Antonia Fernández-Dazaさんでした。今回試したワインは、ヴィンテージも異なっていたので一概には言えませんが、リベラ・デル・フーカルはスマート派、マンチュエラはフルーティ派、ウティエル・レケーナはエレガント派と、個性に違いがあるのが面白かったです。

<新しい動きNuevos movimientos>

FENAVINでは新しい試みに出会うことができます。

1.より自然にMás natural

オーガニックやビオディナミはかなり増えてきていて、認証を受けていないけれど実質的にオーガニックとかビオディナミですというボデガは数多くあります。それ以外にも、より自然に、より伝統的にという動きもあります。

ビノ・ヘネロソVino Generosoと言われるアルコール度が高めのワインには、酒精強化されたシェリーJerezのようなタイプだけでなく、同じくアンダルシア州ですが内陸のコルドバ県にある原産地呼称モンティーリャ・モリーレスMontilla-Morilesの酒精強化しないけれど自然にアルコール度が高くなるフィノのようなタイプも含まれます。

そして、シェリーのメーカーには、酒精強化なしでフィノ・タイプを造る、つまりモンティーリャ・モリーレスのフィノのような造り方をするところも出てきています。これは伝統的な製法に則っているとも見られています。

マンサニーリャのメーカー、バルバディーリョBarbadilloは「ミラブラスMirabrás」(写真右)というIGPティエラ・デ・カディスのワインを紹介していました。これはマンサニーリャと同じくパロミノ種を使い、軽く天日干しし、搾汁後、マンサニーリャの熟成に使用していた樽で発酵させ、澱もそのまま、バトナ―ジュなしで保持。一部はタンクで保持し、合計18か月保持したもの。その間、いくらか産膜酵母フロールが発生してきますが、それは自然に任せる。ということで、白ワインが、フロールの膜の下で熟成するタイプに変わっていく微妙な状態を味わえるワインになっています。もちろんフィルターなし、つまりエン・ラマen ramaです。ブドウは「セロ・デ・ロス・レイェスCerro de Leyes」という畑のもので、ヴィンテージ2017年。5000本ほどしか出荷されません。フロールの香りがふわっと漂い、アルコール度15%で辛口ですが、マンサニーリャよりソフトな快いワインでした。

もう一つ、「ナベ・トリニダNave Trinidad」(写真中)という、バルバディーリョ社の所有する、1821年に建てられた熟成庫で熟成されるマンサニーリャの10段熟成システムのなかの4段目のワインをボトリングしたものがありました。軽めの熟成でフレッシュさを味わうためのものです。これもエン・ラマ。フローラルでソフトな口当たりでした。

写真左は今スペインで大流行のベルモット。同社のアトマンAtmánは辛口です。

2.高品質のスパークリングワインEspumosos de alta calidad

コルピナットCorpinnatは「ペネデス地方の中心地で、100%オーガニックで栽培されたブドウを、手摘みし、完全にワイナリー内の設備で生産された、熟成期間18か月以上の、偉大なスパークリングワイン」を差別化する目的で作られ、団体商標としてEUの承認を得ました。これに関しては当サイトのhttp://www.vinoakehi.com/2018/11/corpinnatペネデス産スパークリングワインのブランド力.htmlもご覧ください。

結成当初は6社でしたが、今ではグラモナGramona、リョパールLlopart、ナダルNadal、レカレドRecaredo、サバテ・イ・コカSabaté i Coca、トレリョTorelló、カン・フェイシェス・ウゲCan Feixes Huguet、ジュリア・ベルネJúlia Bernet、マス・カンディMas Candíの9社に拡大しています。

スペインの伝統的製法によるスパークリングワインとしてはカバCavaが知られています。そのカバのなかでも品質が高い、単一畑産のものは、カバ・デ・パラヘ・カリフィカドCava de Paraje Calificadoとして認定する制度もできました。Corpinnatに参入している製品も含まれていましたが、その製品はカバを名乗ることをやめたため、カバ・デ・パラヘ・カリフィカドから外れます。反対に、同じメーカーの製品でも、外来品種を10%以上使ったものはCorpinnatを名乗ることはできません。また、CorpinnatはEUでは承認されていますが、スペインで承認されていないため、現状ではスペイン産スパークリングワインと言うしかないとのことです。ちょっと複雑です。

すでにCorpinnatと書かれたラベルを貼った製品は出ていますが、同じ製品でCavaと書かれたラベルを貼られて市場に出ているものは、売り切れるまでそのまま使われるそうです。

3.パゴPago

パゴという言葉は最近よく使われるようになりました。パゴは辞書にはブドウやオリーブが植えてある地所とか農園と書いてあります。ワインの世界では、独自のテロワールを持つ土地のなかで栽培されたブドウを使って、その土地のなかで造られたワインの場合、ラベルにそのパゴの名前が表記されたりします。これに諸条件を設定し、公的に制度化したのがDOPのなかのビノ・デ・パゴVino de Pago(VP)です。

ただ、この制度とは別にグランデス・パゴス・デ・エスパーニャGrandes Pagos de Espanaというグループがあります。自社畑を持ち、その周辺一帯の自然環境保護にも注意を払いながら、テロワールにこだわって高品質ワイン造りをしている、家族経営のボデガが共同で、独自のプロモーションをしてきています。

現在参加ボデガは30社。ホームページのデータによると、これらのボデガが持つブドウ栽培面積は2,166haでスペイン全体の0.16%を占め、42品種(黒20品種、白22品種)を栽培。19社がオーガニック栽培、5社がビオディナミとのこと。

参加ボデガのなかにはボデガス・マウロBodegas Mauro、サン・ロマンSan Roman、アバディア・レトゥエルタAbadía Retuerta、ベロンドラーデBelondrade、ヌマンシアNumanthia、グラモナGramona、エンリケ・メンドーサEnrique Mendoza,といった、スペイン・ワインの品質の高さを世界に知らしめる力のあるボデガが名を連ね、さらにはパゴ・カルサディーリャPago calzadilla、プロピエダ・デ・アリンサノPropiedad de Arínzano, デエサ・デル・カリサルDehesa del Carrizal, マヌエル・マンサネケManuel Manzaneque (Finca Élez), マルケス・デ・グリニョンMarqués de GriñónといったVPが含まれています。詳細はホームページ https://grandespagos.com/gpe/ をご覧ください。

このグループには最近、シェリーのバルデスピノValdespinoが入りました。ホセ・エステベスという会社全体ではなく、もともと独立したボデガであったバルデスピノが、ヘレスのマチャルヌードというパゴのなかにバルデスピノという名の畑を持っていて、そこの収穫だけで、独自の造り方を継承しているため、単独でグランデス・パゴス・デ・エスパーニャに参入しています。このようにパゴを謡い、その独自性を打ち出すボデガが増えています。

 

FENAVIN 2019 -2では、今回出会った興味深いブドウ品種をご紹介します。

関連記事

  1. CVNE
PAGE TOP