ビノ・デ・パゴ・デエサ・デル・カリサルVino de Pago Dehesa del Carrizalの輸出部長、クリストフ・ビーレさんによるテイスティング・セミナーが12月5日(水)、銀座スペイングラブで開かれました。
ビノ・デ・パゴ(VP)はスペインの原産地呼称制度の中で、最も条件が厳しいランクです。スペインクラブの方の説明によると、その基本要項として、醸造所が畑に隣接していること、地理的、地質的に特異性があること、自社畑のぶどうだけを使用していること、スペインのワイン法より厳しい規制があること、外部機関による分析検査を受けていること、ワインに個性があり、かつ品質が高いこと、10年以上にわたって国内外で高い評価を受けていることが挙げられるとのことです。
デエサ・デル・カリサルは2006年にVPに認定されました。ボデガはラ・マンチャの古都、トレドの南西約70㎞にあります。ラ・マンチャといえば、原野の風車と戦うドン・キホーテ。けれどもこのVP地域には広大なデエサ、つまり放牧場があり、ドングリの木が生えています。またカリサル、つまりアシの草原があり、山や豊かな水場があります。コルク樫木の森があるのも特徴です。「スペインのコルクの産地はカタルーニャとエスレマドゥーラと、ここだけです」とクリストフさん。
また、畑は海抜800~900mにあって、もともと海底だった土地が隆起して山になり、それが崩れて平地になった、ラーニャRañaと呼ばれる特殊な土壌にあります。写真で見ると、畑の表面は石ころと粘度が混じっていますが、クリストフさんによると、その下は粘土質なので、表面は水はけがよく、その下の根には常に水分が行き渡っているのだそうです。見せていただいた畑の石は、化石が入った粘板岩Pizarraでした。石の肌がカタルーニャ地方の山の中のプリオラトにあるピサーラPizarraに似ているので、もしかしたらと思って指で剥がしてみたら、本当にポロンと剥げてしまいました。
栽培しているぶどうは、カベルネ・ソーヴィニヨン、シラー、メルロー、プティ・ヴェルド、テンプラニーリョと白のシャルドネです。
この日試飲したのはシャルドネ2009、ムルティバリエタル(複数品種)2006、シラー2008、カベルネ・ソーヴィニヨン2006。最初に植えたのがカベルネ・ソーヴィニヨンということで、樹齢も高く、ワインとしてもボデガの看板はカベルネ・ソーヴィニヨン。カベルネらしさを維持しつつ、この土地のワインの特徴といえる酸味が秀でたエレガントなワインでした。