スペインワインの中で今、流行っているのが原産地呼称ルエダのベルデホVerdejoの白ワイン。マドリッドのバルでも、東京のバルでも、「ベルデホ」と注文する人がよく見られます。
そこで、ルエダをきちんと知ろうと、原産地呼称統制委員会Consejo Regulador de la Denominación de Origen
Ruedaのご協力のもと、久しぶりに行ってきました。そして一気に10社も訪問しました。
ルエダ訪問の基点は、カスティーリャ・イ・レオン州の州都、バリャドリッド。マドリッドのチャマルティン駅からは新幹線レベルの電車で1時間ほどです。
ルエダは1980年に、白ワインの産地として原産地呼称に認定されました。中心地はルエダ、ラ・セカ、セラダといった認定地域北部の村々です。主要品種はベルデホ。他にソーヴィニヨン・ブラン、ビウラがあります。パロミノ・フィノはフィロキセラ禍の後、当時需要のあったシェリー・タイプのワインつくりに適しているということでたくさん植えられたのですが、現在では、新たに植えることは認められていません。2008年には赤ワインも認定されましたが、なんといっても主要タイプは白です。
10月22日(月)
この日の午後、最初に訪問したのはルエダ村のビノス・サンスVinos Sanz。1870年創業という長い伝統を持つボデガです。ルエダの中でもボデガが多く集まっているラ・セカにあります。現在ワインつくりを担当しているのはシルビアSilvia Iglesiasさん。まずは販売担当のアナAna Carbajoさんも一緒にフィンカ・ラ・コリーナFinca La Colina に行きました。Colina丘という名前のごとく、小さな丘の上に小さな家が建っています。ぶどう畑は、その横の松林を抜けたところに広がっていました。美しい緑の葉を付けたベルデホ。畑は一面、カスカホcascajoと言われる石ころです。けれどもこれは表面だけで、下はドゥエロ川の沈泥なのだそうです。
「フィンカ・ラ・コリーナ・ベルデホ100×100」は、株づくりの古い畑のぶどうから造ったもの。畑の横の松林の中を歩いているような香りが感じられる、繊細で、滑らかで、きれいな酸味の、エレガントなワインでした。シルビアは樽を使わないで、自然な風味を生かしたワインつくりをしています。
次はヴィリャベルデ・デ・メディナ村のカステロ・デ・メディナCastelo de Medina。1994年創業。90年に土地を買ってぶどうを植え始めたとのことで、畑は見渡す限りの平地に、整然と垣根づくりに仕立てられています。ここはメセタの上。海抜700~800mです。近々、この広大な畑を高速鉄道AVEが付きぬけて走ることになるそうです。
ここの畑も全面石ころ。畑の責任者ハビエルJavierは、石の畑は水はけがいいし、雑草が生えなくていいと言います。けれども、石ころの下層は、石ころに砂が混じり、さらにその下は石灰粘土質で、そこで水が保たれるので、根はここまで届くそうです。
カステロ・デ・メディナはベルデホ、ソーヴィニヨン・ブラン、ビウラの他、シャルドネも植えています。また赤ワイン用に、テンプラニーリョ、カベルネ・ソーヴィニヨン、メルロー、シラー、ガルナチャを栽培しています。
このボデガが1995年に最初に作ったのが、「レアル・カステロ・ルエダ・ベルデホReal Castelo Rueda Verdejo」です。ベルデホ85%、ソーヴィニヨン・ブラン15%。青草っぽい香りやバナナのような香りがあり、辛口ですっきりしたワインです。