久しぶりに行ったバレンシアはお天気も上々。ラ・シウダ・デ・ラス・アルテス・イ・ラス・シエンシアスLa Ciudad de Las Artes y Las Cienciasはすばらしくモダンで、気に入ってしまいました。大きな目的にしていた水族館はステキでした。中のレストランも、ワインリストが充実していて、いい感じでした。
バレンシア州には3つ原産地呼称があります。DOバレンシアValencia、DOアリカンテAlicante、そしてDOウティエル・レケーナUtiel-Requenaです。
ウティエル・レケーナは小さいながら、面白い動きをしている地域です。まず、今年注目したいのはカバです。カバといえば、その95%を生産するカタルーニャ地方が本場ですが、残りの5%はスペイン全土に散在する認定産地でつくられています。そのひとつがレケーナです。ウティエル・レケーナのなかでもレケーナだけという限定産地です。
今年の3月に開催されたFOODEXに出展していたレケーナのCAVAカバのメーカー、カステル・デルス・ソレルスCastell dels Sorellsはとてもオシャレなボトル・デザインのカバでした。もちろん肝心のワインも洗練された質の高いものだったので、ぜひ訪ねたかったのですが、今回は行けませんでした。次の機会にぜひ。
3月22日から26日までバルセロナで開かれたスペイン最大の食品・飲料展、アリメンタリアAlimentariaに行った後、バレンシアに南下しました。そして前出の水族館見学の翌日、内陸のレケーナに向かったのです。
最初は工業団地内にあるウニオン・ビニコラ・デル・エステUnión Vinícola del Esteという新しいメーカー。醸造家のホセ・イダルゴさんが丁寧に行程を説明してくれました。カバは瓶内二次発酵といって、いったん出来上がったワインをボトルに詰めて、そこに酵母と砂糖を加えて栓をし、瓶の中で再度発酵を起こさせ、熟成させます。ここで発生する二酸化炭素がワインに溶け込んでいるので、ボトルを開けたとき、元気に泡が立ち上ってくるのです。ここではマカベオ+パレリャダ+チャレロという伝統的なカバの3品種を使ったもの、マカベオ+シャルドネのモダンなものの他、シャルドネ90%にガルナチャ・ティンタを10%使ったものを試飲しました。黒ぶどうのガルナチャ・ティンタを皮の色をつけずに醸造したものを使っています。いわゆるブラン・ド・ノワールです。最後はガルナチャ・ティンタ100%のロサドです。イチゴやカシスのような赤いベリーの香りが快く、酸とのバランスの良い、おいしく美しいカバでした。
さらに、レケーナではレケーナ・ワイン協同組合Cooperativa Vinícola Requeneseも訪問しました。1935年創業。設備には創設当時から使用してきたセメントのタンクなどもあって、時代を感じさせます。ここはスティル・ワインのメーカーです。赤ワイン用にはボバルBobalというこの地方独特の品種とスペインを代表する品種テンプラニーリョを主に使っています。ボバルは最近注目されている品種です。
ここではボバル100%ではなく、ボバル15%のワインとMonumentoモヌメントというボバル85%、テンプラニーリョ15%で、2008年と2009年のヴィンテージをブレンドしたものを試飲しました。クリーンでフルーティなワインでした。
レケーナを後に、北上し、小雨降るなか、アーモンドのお花見をしながらカラタユまでドライブは続いたのでした。