地中海の楽園、マヨルカ島。青い空、青い海、ヨットが浮かび、、、。ですが、ヨットは置いておいて、ワインを求めて島の南西部にあるフェラニッチ村の近く、ソン・ブルゲラへ向かったのは3年前。私の中ではマヨルカといえばAN。Calletカジェットという品種で造るワイン、ANのボデガ、AN NEGRA VIT.S.L.を訪ねました。ANはÀnima Negra アニマ・ネグラ、直訳すると黒い霊魂。夕暮れ近くなっていましたが、まず畑に案内されました。ANにとってはぶどうが全てだからです。ぶどう畑の中には木が立っているし、草も生えています。それはマヨルカ生まれのぶどうはマヨルカの自然のなかでこそ良い状態で生育するという考え方からです。
「そのうち醸造家は収穫期でも遊んでいられるようにしたい」と笑いながら言うのは、そのANをつくっている醸造家Miquelàngel Cerdà i Capó ミケランジェル・セルダ・イ・カポさん。4月21に日に青山のアカデミー・デュ・ヴァンでテイスティング・セミナーを行いました。
ANは初めてCalletカジェットというマヨルカ島の品種をフィーチャーしたワインです。見捨てられていた土着品種の古い畑に注目して、ワイン造りに着手し、「最初は友達たちの間で飲むワインとして、カジェット種だけで2樽造りました」とのこと。その後、試行錯誤を重ね、生産量を増やし、設備を整え、1997年に製品化するに至りました。
最初はANだけでしたが、現在はセカンドといえるAN2、白のQuibiaキビアも造っています。
今、ANはカジェットほぼ100%で、アルコール度を補うMantonegroマントネグロと色を補うFogoneuフォゴネウを少しブレンドしたものです。いずれもマヨルカの土着品種です。AN2はカジェットの割合を下げ、マントネグロ、フォゴネウの他にシラーも加えてあります。白のキビアは2007年まではPrensal Blancプレンサル・ブランとMoscatelモスカテルで造っていましたが、2008年からはモスカテルではなく、カジェットを使っています。ブラン・ドゥ・ノワールです。
常に自然体で、マヨルカの持つ力を生かして、エレガントなワイン造りを目指す姿勢が素晴らしいANです。