サン・ダドゥルニ・ダノイア村の少し南にあるカバのメーカー「リョパール」は文字通り家族経営のボデガです。末っ子のジェシーが元気に迎えてくれました。そこにお兄さんも、お姉さんも、続々登場。最後にはお父さんとお母さんも、友達のカップルも加わって、賑やかなこと!
ラテン語の書類には、1385年1月7日、ベルナ・リョパールは現在のリョパール家の土地にあったぶどう畑をいくつか譲り受けたと記されているそうです。その後リョパール家は様々な農産物を栽培していましたが、18世紀に、ぶどう栽培に専念することになりました。そして1887年、現在も使っている、リョパール家を描いたラベルを付けた瓶内二次発酵製法のスパークリングを売り出したのでした。その絵が入り口のスペースに掛けてあります。
畑はボデガを取り巻いていますが、ボデガの裏の丘の斜面にもあります。途中の畑は垣根づくりになっていましたが、さらに上のほうに上っていくと、いかにも古そうな太く短い幹を持った株づくりの樹が並ぶ一角がありました。そこは、フィロキセラの害にあっていないとのことで、取り木で新しい株を作っていました。古い株から1本の枝を伸ばして、途中の一部を地中に埋めて、先を地上に出しておくと、そのうち先のほうには葉や蔓が出てきて、土に埋めた部分からは根が出てくるので、根付いたら、親樹と切り離します。すごい砂質の土壌というわけではないようですが、ぺネデスで取り木をしているのを見たのは初めてでした。
地下の熟成庫は、カバのボデガらしく、ボトルが口を下にして差し込まれているピュピートルがずらっと並んでいます。そこを進んでいくと、片隅に小樽を立てておいてあるコーナーが。樽の前の部分は空いています。これは動瓶が終わったボトルの口にたまった澱を出すときに、コルク栓を抜く場所です。なんと、この日は特別に1本開けて見せてくださいました。しかもヴィンテージ1992年!
これは後でデカンタして、飲ませていただきました。ゴールドのような色で、滑らかな口当たり。グラスの中で泡こそ立ちませんが、口の中にはフレッシュさが広がりました。
珍しい体験をさせていただいたリョパール訪問でした。ご家族全員の温かいおもてなしが何よりでした。