「カン・ラフォルス・デルス・カウス」はモダンなラベル・デザインで、カタルーニャらしい垢ぬけた雰囲気のあるワインを造るボデガです。
カンつまりラフォルス・デルス・カウス家の家自体の歴史は15世紀にまでさかのぼることができます。広大な所有地ではワインも造られていました。1930年にこの土地を入手しジャシント・エステバ氏は、夏に別荘としてしか使っていませんでしたが、ワイン造りは続けていました。実際に家の修理改築や本格的なワイン造りを始めたのはその孫であり、現在のオーナーであり醸造家でもあるカルロス・エステバ氏でした。彼は一家とともにここに住み、畑の改善から着手しました。
「カン・ラフォルス・デルス・カウス」は、フレシネやヤコドーニュといった大手のカバメーカーがあるサン・ダドゥルニ・ダノイアの南、トーレスの本拠地があるビラ・フランカ・デ・ペネデスの東に位置し、マシソ・デ・ガラフと呼ばれる山間にありますが、地中海は山の向こう、20kmほどのところにあります。畑は、高いところで標高300mぐらいで、両側を谷に挟まれた地形なので、傾斜地にあります。
土壌は石灰質です。もともと海底だったところが隆起したので、今でも貝の化石が簡単に見つかります。けれどもその下は巨大な岩盤で、いわゆる土壌は表面の40cmほどです。けれどもこの石灰質の土壌がミネラル分をはじめ様々な要素をぶどうに与えてくれ、それがワインの個性や長期熟成に耐える力強さになるのです。
畑はすべて有機栽培で、あたりにはタイム、ローズマリー、ミントなど、様々なハーブがいっぱい。455haの土地のうちぶどう畑は50haで、周りは自然に囲まれて、虫も鳥も共存しています。こうして自然界のバランスがとれているからこそ、良いワインになる良いぶどうができるのでしょう。
最近完成した新しいボデガは、前出の岩山を削って作ったもので、自然光が柔らかです。壁は岩の面そのままで、大地の大きさが感じられました。
<試飲したワイン>
Gran Caus Massis
del Garraf Blanco 2013: チャレロ40%、シュナン・ブラン40%、シャルドネ20%。トロピカルフルーツのような香りの中にある野のハーブのような香りとミネラル感は、まさに畑のもの。
Gran Caus Rosado
2015: メルロー100%。色鮮やか。赤いベリーや花のような香り。辛口でボリューム感がある。
Pairal Xarel.lo
2011:チャレロ100%。栗材の樽で熟成。色は濃い目。パイナップルやハーブのような香りで、うまみのあるワイン。
Sumoll 2012 : スモール100%。栗材の樽で熟成。赤いベリーのような、マジパンのような香り。カタルーニャの中でも特にペネデスを地元とする品種。独特のタンニンと酸。
Gran Caus
2006 : カベルネ・ソーヴィニヨン、カベルネ・フラン、メルロー。フルーティさを残し、バランスよく、エレガントで深み