プリオラトには新しい感覚の作り手がいっぱい
特選原産地呼称プリオラト
DOCa Priorat
スペインワインが数あるなかで、1980年代、そのテロワールの特徴と地元のぶどう品種を前面に出した高品質ワインで世界を驚かせたのがプリオラトでした。
プリオラトはカタルーニャ地方南部、バルセロナの南西にある古都タラゴナから内陸に入った、まさに山間部にあります。かつては修道院「スカラ・デイ」が強大な勢力を持ち、ワインつくりは必須要素として盛んになっていったのですが、19世紀に永代所有財産解放令が出され、修道院の領地だった畑は売却され、多くの市民の手に渡りました。ところがフィロキセラに襲われ、畑は全滅。この地は地形も気候もあまりにも条件が悪かったため、畑を復興するより都会で働いた方が楽だということで、多くの村人たちがぶどう畑を見捨ててしまいました。けれども、外部のワインメーカーたちは、この地が高品質のワインを産みだすのに大変適していることを発見したのです。リコレーリャというスレート土壌、カリニェーナとガルナチャという地元品種。それに加えて、彼らは最新の技術と設備をもって、ワインつくりを始めました。そのワインは世界中で注目され、プリオラトは一挙に注目される産地となり、優秀な醸造家や、いいワインをつくりたいという意識の高い人々がどんどんやってくるようになりました。こうして、プリオラトはリオハと並んで2000年に特選原産地呼称DOCaに認定され、1990年には8軒しかなかったボデガが、今や97軒にもなっています。
エスパイ・プリオラト Espai
Priorat
特選原産地呼称プリオラト統制委員会は、昨年に続き、今年も「エスパイ・プリオラト」というプリオラトのワインの試飲会とボデガの訪問を組み込んだ広報プログラムを実施しました。開催期間は5月13日(月)から15日(水)まで。招待されたのはアメリカ、ブラジル、カナダ、ロシア、ノルウェー、スイス、そしてアジアからはインド、韓国、中国、日本のワイン関係者約60名です。参加したボデガは36社。統制委員会の発表では、試飲されたワインは、2日目に開かれたショールームだけでも127種類。総数では160種類にのぼったそうです。
食事は毎回、素晴らしいマリーアージュが考えられており、特に14日の夜は、今世界で最も素晴らしいレストランと言われるジローナの「エル・セリェール・デ・カン・ロカEl Celler de Can Roca」のデザートつきでした。
また、プリオラトならではですが、各村が小さいので、ホテルの規模も小さく、参加者は11カ所に分宿しました。
ものすごいカーブの山道を走り廻った3日間でしたが、それだけに、素晴らしい景色と魅力あるワイン生産者たちに会うことが出来ました。