「ジロ・デル・ゴルネル」のジロはオーナー・ファミリーの苗字。ではゴルネルはこの村の名前か、というとそうではありません。ゴルネルは家の名前です。家自体が名前を持っていて、住む人が代々引き継いでいくのです。歌舞伎役者の屋号のような感じかもしれません。
郊外の大きな地所のことをフィンカと呼ぶのですが、単に休日を自然の中で過ごすための別荘のこともあり、様々な農産物を生産していることもあります。この「ジロ・デル・ゴルネル」もフィンカで、昔からここを通る旅人たちが休憩に立ち寄っていくところでもあったそうです。位置的には、サン・ダドゥルニ・ダノイアとビラフランカ・デル・ペネデスの間にあります。
このフィンカの歴史の一部を物語る土地の売買の文書が残されていて、その日付は1595年11月9日になっています。この家にはジロ一家が何世代にもわたって住んできました。そしてワイン造りも、フィロキセラの害に遭い、立ち直るまでと、スペイン内戦の間に中断しただけということで、綿々と続けられてきています。
現在のオーナーはガブリエル・ジロ・イ・バトラさんで、ぶどう栽培に情熱を燃やし続け、今も、畑が全て!、といった生活を続けています。妻、モンセラット・ビアさんの内助の功あってのことです。このご夫妻には3人の子供がいて、彼らが現在、ボデガを仕切っています。長男のガブリエルさんは、父の跡を継承して、ぶどう栽培からワイン造りまで、全行程の技術面の責任者になっています。次男のオスカルさんは畑でもボデガでも、すべての仕事をこなしますが、アドミニストレーション担当です。そして末っ子で長女のマルタさんが世界各国で培った経験を生かして販売を担当しています。そしてこの3人は両親の住む古いカタルーニャ様式の母屋の周りに、それぞれの家を持って、一緒に暮らしながら働いているのです。ボデガもすぐ横にあります。
ぶどう畑も家のすぐ目から始まっています。 50haほどで、カタルーニャの品種マカベオ、チャレロ、パレリャダの他、外来品種のカベルネ・ソーヴィニヨン、メルロー、ピノ・ノワール、シャルドネも植えています。
造っているのはカバとスティル・ワインの白、ロゼ、赤です。メルロー100%のロゼはとても優しい色合いで、フローラルでフルーティ。けれどもしっかりしたワインです。モンセラットさん手作りの料理でカバを飲みながら、ジロ一家といただいたお昼は、心のこもった最高のお味でした。カバもスティルも洗練されたなかに優しさを感じるワインです。
http://www.girodelgorner.com/vins/# をご参照ください。