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ロンダのワイン Vinos de Ronda




 ロンダといえば峡谷にかかる橋や闘牛場で知られる観光スポットです。アンダルシア州の地中海側にあるマラガ県に属しています。マラガ市はコスタ・デル・ソルというビーチリゾート地帯の中心地ですが、ロンダはビーチとは全然関係のない山奥にあります。

マラガは1932年にスペインの原産地呼称制度ができたとき既に認定さていた伝統的なワインの産地でした。ただ、そのワインは甘口でした。そして志向の変化とともに需要は減り、ワイン全体の消費量が落ちたことも影響して、生産量も減ってきました。そこで登場したのがスティル・ワインです。2001年にシエラス・デ・マラガSierras de Malagaという原産地呼称ができました。生産地は伝統的なマラガと同じで、アクサルキア、モンテス・デ・マラガ、ノルテ、マニルバ、そしてセラニア・デ・ロンダSerranía de Rondaの5地域です。

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 3月11日(土)、四谷三丁目のレストラン「シュヴァリエ・デュ・ヴァン」で「ロンダのワインEl Vino de Ronda」の試飲会がありました。つまりマラガの中でもセラニア・デ・ロンダ地域のワインだけを集めた試飲会です。原産地呼称マラガと原産地呼称シエラス・デ・マラガの2つを管理する統制委員会の会長、ホセ・マリア・ロサントス・エルナンドJosé María Losantos Hernando氏も来日し、対日輸出に本格的に乗り出しました。

参加したのは11のボデガ:デスカルソス・ビエホスDescalzos Viejos, ベタスVetas, パソス・ラルゴスPasos Largos, ルナレスLunares, シャッツF. Schatz, モロサントMorosanto, ケイニンガーKieninger, ビロリアViloria, ホアキン・フェルナンデスJoaquín
Fernandez,
ドニャ・フェリサDoña Feliza (チンチーリャChinchilla), サムサラSamsara

主にフランス品種ですが、中にはシャッツが使うドイツのレンベルガーLembergerとモスカテル・ネグラMoscatel Negra、ケイリンガーが使うオーストリアのブラウフレンキッシュBlaufränkisch(=ドイツのレンベルガー)やツヴァイゲルトZweigeltといった、ヨーロッパの中でも北に位置する地域の品種が、スペインのなかでは一番南に位置するアンダルシア州の山の中で栽培され、素晴らしいワインに造られているのがロンダの面白さと言えるでしょう。



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もうひとつ、ティンティーリャ・デ・ロタTintilla de Rotaという品種が使われています。アンダルシアの黒ぶどう品種で、グラシアノ・リオハノやソモンタノのパラレタと同じ仲間だと言われていますが、起源ははっきりしていないそうです。名前の通り、マラガ県の西隣、カディス県の大西洋岸にある港町ロタの地域で栽培されていて、今に至るまで細々と甘口ワインが造られてきていました。海岸地帯なので、畑の土壌が砂質だったため、フィロキセラにも打ち勝って残ったわずかな品種のひとつです。それがこのところ注目され、まずは地元のカディス県で栽培が進み、辛口の上質ワインが生産されるようになり、現在はビノ・デ・ラ・ティエラ・デ・カディスVT de Cádizとして販売されています。

そして、今回はさらに内陸に進んだマラガ県のロンダで栽培されたティンティーリャ・デ・ロタのワイン3本が紹介されていました。パソス・ラルゴス社のアパソス・ホーベンApasos Jovenはティンティーリャ・デ・ロタ40%、シラー30%、プティ・ヴェルド20%、メルロー10%のブレンドで繊細な味わい。ルナレス社のルナレス・ティントLunares Tintoはガルナチャ、シラーとのブレンドでフルーティ。ケイリンガー社のマックスMaxxはガルナチャとのブレンドでしっかりタイプ。それぞれの造り手の個性が現れています。

ロンダはまだワインの産地としてはあまり知られていませんが、今後が期待されます。

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