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クリプタとセルボレス Kripta y Cérvoles




522日(火)の午後、スペインワイン専門の輸入元「スコルニ・ワイン」で行われた試飲会のテーマは、「アグスティ・トレジョ・マタAgustí Torelló Mata」と「カステル・デル・レメイCastell del
Remei
」社のワインを中心にした、カタルーニャのワインでした。

 

アグスティ・トレジョ・マタ」といえば、「クリプタKripta」です。アンフォラ型というか、ラグビーボール型というか、底のない、立てて置くことができないボトルがユニークな、長期熟成カバです。

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「アグスティ・トレジョ・マタ」は創業者の名前です。社名に使い始めたのは1993年でした。両親は仕立て屋と音楽家。けれども本人はワインへの関心が強く、1953年にサン・サドゥルニ・ダノイア初のワインのラボラトリーを開設し、1959年に自社を創設。クリプタが誕生したのは1979年のことでした。

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 同社が徹底しているのは、地元品種だけを使って、熟成期間の長いカバを造ることです。使用品種はカバの主要白品種であるマカベオ、チャレロ、パレリャダと、黒のトレパットです。自社畑50ha、契約農家の畑が50ha。双方合わせてオーガニックの認定を受けたのは2014年なので、今回試飲したカバは、14年ヴィンテージのロゼ以外、事実上オーガニックですが、まだ認定マークが付いていません。

 トレパット100%のロゼは明るい色で、ドライでフレッシュ。気軽の食事に合わせられるワインです。

 樹齢30年以上のマカベオ100%で造ったカバは、その30%は8か月樽熟したもので、瓶熟6年です。複雑味のある個性的な風味です。

 今回はアンフォラ・ボトルの「クリプタ」が2種ありました。ブルー系のラベルの「クリプタ・グラン・レセルバ Kripta Gran Reserva 2008」と金色系ラベルの「クリプタ・グラン・アニャダ
Kripta Gran Añada 2006
」です。いずれもマカベオ45%、パレリャダ35%、チャレロ20%です。資料には樹齢60年以上の畑と記してありましたが、来日した輸出部長のマヌエル・セラトサさんは「70年以上」と言っていました。「グラン・レセルバ」は総生産量2万本。「アニャダ」は、2006年ヴィンテージが3千本強しか生産されていませんが、これは「クリプタ」の中から良いものをセレクトし、10年熟成したものだそうです。さすがに洗練された、落ち着いた風合いです。じっくり飲みたいカバでした。

 

「カステル・デル・レメイ」は名前の「カステル」が示すようにお城です。ブランドにも使われている1780が創設年です。カタルーニャでフランス品種を導入したパイオニアであり、熟成タイプのワインを発売した最初のメーカーでもあるとのことです。

「カステル・デル・レメイ」があるのは1986年の原産地呼称コステルス・デル・セグレ。カタルーニャの中では内陸に位置し、モダンで洗練されたワインが多い地域です。

「カステル・デル・レメイ」には「ゴディムGodim、「オダOda」、「1780」のブランドがあり、ガルナチャ48%、テンプラニーリョ26%、他フランス品種で造った、「ゴディム・ブルGodim Bru」が唯一、スペインらしい個性を持ったワインで、その他はフランス品種が主体のワインです。来日したアジア太平洋担当のルード・カルスドルプさんによると、カベルネ・ソーヴィニヨンを使ってワインを造った最初のボデガだとのことです。

 同系列の「セルボレスCérvoles」は同じ原産地呼称コステルス・デル・セグレにありますが、平坦な土地を持つ「カステル・デル・レメイ」と違って、山間の地にあります。オーナーのクシネ家は、標高700750mにあるこの土地の特性を生かした高品質のワインを造るボデガと位置づけして1997年に創設しました。

畑は50haで、19701989に植えたガルナチャ・ネグラ(ティンタ)、ウル・デ・リェブレ(テンプラニーリョ)、シラー、カベルネ・ソーヴィニヨン、メルロー、シャルドネの他、1012年前に植えたプティ・マンサンもあります。

 今回の試飲では、マカベオとシャルドネ各40%にプティ・マルサンを20%使った「セルボレス ブランCérvoles Blanc 2014」、マカベオ55%+シャルドネ45%の「コロルス ブランColors Blanc 2015」、ガルナチャ35%+テンプラニーリョ35%+シラー30%の「コロルス ネグレColors Negre 2014」に、ガルナチャ100%の「コロルス ガルナチャColors Garnatxa 2015」が加わりました。ガルナチャはそれらしい少し薄めの色で、フルーティですが、繊細な辛口で最後がかすかに苦み走ったいいワインです。「セルボレスCérvoles 2009」はカベルネ・ソーヴィニヨン40%+テンプラニーリョ32%+ガルナチャ18%+メルロー10%。のスペイン品種とフランス品種のコラボレーションです。熟成感のある色、バルサミックでミネラル感があり、バランスの良いワインです。

 セルボレスの畑も2016年にはオーガニック認定されました。

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