グランデス・パゴス・デ・エスパーニャのボデガ訪問3回シリーズの第2回でご紹介した、カスティーリャ・イ・レオン州にあるVP「アバディア・レトゥエルタ」の白ワイン「ブランコ・ル・ドメーヌBlanco LeDomaine」の垂直試飲に、輸入元ミリオン商事株式会社の方々のご好意で、参加させていただきました。
ビンテージは2020、2019、2018です。現在ボデガのサイトに掲載されているのは2021年で、この年はソービニョン・ブラン70%、ベルデホ30% です。
この2つの品種は、同州内で、すぐ南西に位置するDOルエダの主要品種ですが、「アバディア・レトゥエルタ」がより近いDOリベラ・デル・ドゥエロでは最近、白ワインを造る品種として認可された地場品種アルビーリョ・マヨールAlbillo Mayorに力が入れられています。
この日試飲したソービニョン・ブラン+ベルデホのワインですが、ビンテージによってイメージが異なりました。2018は落ち着いた柔らかさがある快いワイン。2019はフルーツ味も酸味もしっかりしたタイプ。いずれもボリューム感がある同じラインのワインです。けれども2020だけ少し違います。華やかなフルーティさ、フレッシュさが勝っているような感じがします。そこで、9月末に訪問した時にボデガを案内して下さったアルバロ・ペレス氏(ボデガ主催のテロワール・アカデミーのディレクター)に問い合わせてみたところ、
基本的に造り方は同じです。2018年は比較的涼しかったため、ワインは香り豊かで繊細です。2019年は暑く、雨が降らなかったため、完熟度と酸度のバランスのとれた果実を得るためには、日を選んで収穫しなければなりませんでした。けれどもこの年は“クリスタルのような”酸があります。2020年は暑くはあったものの、春に雨が降っています。ただ気候のせいだけではなく、まだ瓶熟が浅いため、よりフレッシュさが感じられます。
ただ、2020年からは樽発酵の際、自然に発生する二酸化炭素を少し保持するようにしています。それは樽熟期間にワインに溶け込みます。そのため若いうちは生き生きとした弾けるような感じを出すことができ、ワインのフレッシュさを保ち、酸化予防にもなり、意外ですが、初期の酸味をいくらか和らげてもくれます。この二酸化炭素は瓶熟が進むと消えていきます。
とのことでした。納得しました。やはり多少違う手法を加えていたのですね。
2018年と2019年は、しっかりしたメインの料理に耐えられる力を持ったワインで、2020年は一皿目の軽やかな料理、休日のブランチなどにもよさそうなワインです。この2020年があと1~2年たったとき、どう瓶熟しているか、ぜひ試してみたいです。