11月1日(木)、銀座のスペインクラブでビノ・デ・パゴ、フィンカ・エレスの輸出部長、ヘスス・ガルシアさんによるセミナーがありました。
フェンカ・エレスは映画・演劇の監督として知られるマヌエル・マンサネケManuel Manzaneque氏が、1992年セビーリャ万博での「ドン・キホーテ」の講演を機に、全てのキャリアをなげうって、幼いころからの夢であったワインつくりを志して始めたボデガです。
映画や演劇で世界を周るうちに「なぜ海外にはスペインワインがないのだろう? いいレストランはなぜフランスワインばかり使うのだろう?」と疑問が湧いたのです。「世界中で拍手をもらえるようなスペインワインをつくろう。」 彼のアート感覚は、今度はワインに向けられました。
選んだ場所は、故郷でもあるラ・マンチャ。ドン・キホーテの地、風車のカンポ・デ・クリプターナから、南東に向かったところにある、エル・ボリーリョ村です。ここはラ・マンチャの広大な大平原のイメージとは違って、湖があったり、ヒノキがたくさん生えていたりする、標高1080m地点。独特の石灰粘土質の土壌と、寒暖の差が激しく、一年中強い風が吹いているといった、特徴のある栽培条件があります。
心意気は「ロマネ・コンティのようなシャトー/ドメーヌのワインをつくること」。自社畑で、有機栽培されるぶどうだけを使っています。最初はシャルドネ、カベルネ・ソーヴィニヨン、シラー、メルローというフランス品種だけでしたが、テンプラニーリョが素晴らしく良くできるので、これは、スペシャル・ワインに使っています。それが「エスセーナEscena」。 Escenaは舞台とか演劇とかシーンといった意味の言葉です。まさにマヌエル・マンサネケ氏らしい名前です。テンプラニーリョ90%で、10%はカベルネ・ソーヴィニヨン。テンプラニーリョらしさが感じられる、しっかりしたワインで、どこかヒノキやハーブを思わせる香りがあります。この香りは「フィンカ・エレス」、「マヌエル・マンサネケ・スエストラ・セレクシオン」、「シラー」にも潜んでいる、フィンカ・エレスの特徴といえるでしょう。
ビノ・デ・パゴに認定されるには10年間、高評価を受けていなければならず、オーガニック・ワインに認定されるためには5年の歳月をかけてきました。そして近々、オーナニックの認定が下りるそうです。
セミナーの日、スペインは休日で、しかも早朝にもかかわらず、醸造家のフアン・ピケロJuan Piqueroさんは、スカイプの画面で、日本からの質問に快く答えてくださいました。Muchas gracias.