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マドリッド・フシオン/エノフシオン 2013年 Madrid Fusión / Enofusión 2013

 

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1月21日(月)から3日間、マドリッドの博覧会会場IFEMAで、食の祭典「第11回マドリッド・フシオンMadrid Fusión」が開催されました。ワイン部門の「エノフシオンEnofusión」は同じ会場内の一角を占め、独自のプログラムで進行しています。

 

今年は会場が開催一か月前に変更になったり、悪天候だったりしたにもかかわらず、来場者は主催者側発表で1万人を超え、大盛況でした。

 

マドリッド・フシオン Madrid Fusión

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例年のように、世界中の著名なシェフが集まり、クリエイティブな料理を披露しました。今年は、スペイン以外では、コロンビア、イタリア、ブラジル、フランス、ドイツ、ペルー、ベルギー、オーストリア、スイス、コロンビア、米国、ポーランド、英国、ロシア、アルゼンチンと、本当に国際的でした。

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 連日、有名シェフの調理が見られるメイン・スペースAuditorioでは、今年は原産地呼称シェリーDO Jerez は産地と同じアンダルシアのカディス県、エル・プエルト・デ・サンタマリア市にある魚介類を得意とするレストラン「アポニエンテAponiente」(写真左)と、特選原産地呼称リオハDOCa
Rioja
は美食の町サン・セバスティアンのレストラン「ムガリッツMugaritz」と、原産地呼称リベラ・デル・ドゥエロDO
Ribera del Duero
は米国マンハッタンにある人気のレストラン「アルデアAldea」、現在スペイン随一と言われるジローナのレストラン「セリェール・カン・ロカCeller Can Roca」を後援するといった、マリアージュを意識したプレゼンテーションが増えていました。

 

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その他、公開ステージPolivalenteでは、イベントに登場する料理を準備する裏のキッチンがのぞけるようになっていて、盛んに写真が撮られていました。クリエイティブ・ゾーンEl Ser Creativo、ワークショップTallerでも様々な実演やセミナー、討論会が開催され、あちこちに順番待ちの列ができていました。

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 会場のブースも大賑わい。朝からコーヒーのブースはいい香りを漂わせ、ビールのブースは一休みする人たちでいつも満員。生ハムブースはワイン・ブースとともに大人気です。

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アラゴン州のウエスカHuescaのブースでは特産品のトリュフを展示し、日替わりでシェフがトリュフ料理を披露。さらには黒トリュフと白トリュフ各1kgがオークションにかけられ、5,500€と8,600€でそれぞれ落札され、ニュースになりました。

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アンダルシアのワインの原産地呼称モンティーリャ・モリーレスDOMontilla-Morilesでは今年もベネンシアドールがワインをサービス。特別呼称ブランデー・デ・ヘレスDE Brandy de Jerezはカクテル各種を披露して、人気を博していました。

 

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また、ワークショップでは、原産地呼称リベラ・デル・ドゥエロが、厳選した15社の、ヴィンテージ20052010の製品の試飲を行いました。

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 料理がテーマの展示会だけに、会場には調理の合間に、様々な食材やワインをチェックして回るコックさんたちの姿もあちこちで見られました。

 

エノフシオン Enofusión

 

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マドリッド・フシオンのなかのワイン部門。メーカーのブースが並ぶ「エクスポボデガスExpobodegas」とフリーテイスティングのコーナー「エノバルenoBar」、一日中各ボデガのミニ・セミナーが行われる「ワイン・コーナーWine Corner」、そして各種セミナーが行われる「セントロ・デル・ビノCentro del Vino」から成っています。

 「セントロ・デル・ビノ」で開かれるエノフシオンのセミナーは大変な人気で、毎回入れない人が続出です。今年の特徴は、ロゼ・ワインの試飲や白ワインの試飲が目立ったこと。スペインは赤ワインの強いイメージから脱却中です。

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21日にはスペインの著名なワイン評論家マリア・イサベル・ミハレスMaría Isabel Mijaresさんによるロゼのテイスティング、そしてバルセロナのワインショップ「ビラ・ビニテカVila Viniteca」のオーナーで、ワインのエキスパートとして知られるキン・ビラQim  Vilaさんがスペイン北部の特徴ある白ワインを紹介。チャレロXarel-lo100%で120か月熟成のカバTuró d’en Mota
2001
、将来そのカバにあるであろう、2012年収穫の白ワイン。DOバルデオラスのゴデーリョGodello 100%のOsoro de Rafa Palacios
2011
、遅摘みのゴデーリョでつくったSorte dos Santos Godello Vendimia Tardía 2011。カタルーニャのDOアレーリャのパンサ・ブランカPança
Blanca
(チャレロの別名)種でつくったPerfums de Pança 2010、そして最後はアレーリャの伝統的な酸化熟成系酒精強化ワインAlella Marfil-Rancio de Alella 1962。スペインの白ワインの質の高さとヴァリエーションの面白さが味わえる試飲でした。

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22日にはフレシネFreixenet社の白ワイン各種とタパスを合わせるマリアージュ、「Los Blancos dan la lata」がありました。白ワインに缶詰めに入れたタパスを合わせるという趣向ですが、dar la lata には迷惑をかけるという意味もあるので、両方にかけて、白ワインがお邪魔します!といった感じでしょう。プリオラトのガルナチャ・ブランカとマカベオのワインにムール貝、ペネデスのチャレロのワインにグリーン・トマトのスープ、リアス・バイシャスのアルバリーニョのワインにベルベレチョス(貝)、ルエダのソーヴィニヨン・ブランのワインに白アスパラガス、ルエダのベルデホのワインにミニ・ソラマメ、カスティーリャ地域のアイレン、マカベオ、モスカテルのワインにスズキ、マリョルカ島のシャルドネ、プレンサル・ブラン、マント・ネグロのワインに赤ピーマン、オーストラリアのリースリングのワインにココナツのピュレー。料理には各種ソースがかかっているので、それぞれに面白い組み合わせでした。

23日にはガリシアのDOリアス・バイシャスのマール・デ・フラデスMar de Frades社がアルバリーニョでつくる様々なタイプのワインを試しました。辛口のスパークリングMar de Frades Brut NatureMar de Frades 最新ヴィンテージ2012年、最高の畑のぶどうでつくるフレンチオーク樽熟成のFinca Valñas 2010年、シュールリ製法のMar de Frades Lías、アイスワイン製法の甘口Mar de Frades
Dulce
。アルバリーニョの可能性を探る試飲でした。

 

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シェリーのティオ・ペペで知られるゴンサレス・ビアスGonzález Byass社のグループはスペイン全国6地域のボデガの醸造家を全員集合。カバAlbert de Vilarnau Chardonnay Pinot Noir、ソモンタノの白Viña del Vero
Clarion
、ノンフィルターのフィノ・シェリーTio Pepe en rama CosechaFundacional、カスティーリャ・ラ・マンチャ地方の赤Altos
de la Finca 2010
、シェリーの産地から少し内陸に入った地域でつくる赤Finca Moncloa 11 Barricas 2008、特選原産地呼称リオハのBeronia Gran
Reserva 2005
、同じくリオハの 厳選ワインBeronia III a.C 2010、ソモンタノの粋Blecua 200730年以上熟成の希少なタイプのシェリー、パロ・コルタド Apóstoles。北から南まで、東から西まで、各ワインをつくっている本人の解説で、各地の個性を味わいながら一気にスペインを巡りました。

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 トーレスTorres社はグランス・ムラーリェスGurans Muralles垂直試飲。原産地呼称コンカ・デ・バルベラDO Conca de Barberáで、その名の通り城壁に囲まれた畑では、ガルナチャ・ネグラ、マスエロ、モナストレル、ガロ、サンソーという地元の品種だけを栽培しています。試飲したのはヴィンテージ2001200420062009。毎年配合は異なりますが、熟成するにつれてきれいな酸味が備わってくるワインです。

 

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ポルトガルのモスカテル・デ・セトゥーバルMoscatel de Setubalも垂直試飲でした。メーカーはジョゼ・マリア・ダ・フォンセカJose Maria da Fonseca。モスカテルという品種でつくった甘口ワインで、アルコール度が67%に至ったところでアルコールを添加して発酵を止め、古い樽で熟します。製品のアルコール度は1718%です。ソレラ方式ではなく、樽の中身が減ってきたら、同じ収穫年のワインで補充しながら、同じ樽で熟成させます。試飲は1998年から始まり、次が20年、そして1950、 1916年、19101903年。1998年は発酵を止めるのにアルマニャックを使ったため、フルーティさがあるそうです。20年というのは最低熟成年数20年以上の4つのヴィンテージのワインを合わせて作ったものだそうです。50年はコニャックで発酵を止めたもの。このあたりまではきれいな琥珀色をしています。16年はヨード色で酸味がしっかり。10年はシェリーのペドロ・ヒメネス色で、酸味はしっかりしていますが黒糖のような味。03年はもう真っ黒でこってり。けれども酸味がソフトに感じられました。貴重な体験でした。

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 エノフシオンで新商品発表というのもありますが、今回はゴージャスでした。リベラ・デル・ドゥエロの最高峰ベガ・シシリアVega Siciliaとボルドーの名門ロートシルトとが13年ほど前から一緒にワインをつくろうと思っていた夢が実現しました。プレゼンターはベガ・シシリアの社長、パブロ・アルバレスPable Álvarezさん。産地はやはりスペインで一番重要な地域にしようということで、特選原産地呼称リオハRiojaが選ばれました。9年間かけて探した70haの畑は樹齢40年以上。マコンMacán 2009とそのセカンドのマコン・クラシコMacán
Clásico 2009
は、ボルドー・スタイルのワインを目指してつくったとのことです。比較試飲に出されたのが、DOトロのピンティア Pintia 2009DOリベラ・デル・ドゥエロのアリオンAlión
2009
というゴージャスさ。この4本、いずれも品種はテンプラニーリョですが、各産地の特徴がよく表れていました。

 

今年も年始のイベント「マドリッド・フシオン」が終わり、ガストロノミー界も本格的に動き出します。

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