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Madrid Fusión マドリッド・フシオン 外枠編

MF Logo.jpgマドリッド・フシオン。英語で言えばマドリッド・フュージョン。モダン・スペイン料理の旗手、「エル・ブリ」のフェラン・アドリアや「アルサック」のフアン・マリと娘のエレーナ・アルサックなど、世界の超有名シェフが一堂に会するガストロノミーの祭典で、今年は第8回目で、1月2628日の3日間、パラシオ・デ・コングレソスという空港近くの会議場で開催されました。

けれども、メインの料理のプレゼンテーションに関しては、ガストロノミー専門のメディアが発表してくれるので、そちらをお読みください。ここでは盛りだくさんだった周辺の情報をお伝えします。

 

 

 

 

ワイン・テイスティング

テイスティング会は3日間連続で、スペイン・ワインティスター協会会長のフェルナンド・グルチャリ・ハケさんのリードで行われました。

 


MF2 Penin.JPGのサムネール画像26日はアラゴン州のガルナチャがテーマ。ガルナチャはスペインでは大変多く栽培されてきた品種で、このところ品質の高いワインが多く、注目したい品種です。

この日は17本を試飲しました。全てがガルナチャ100%だと思っていたら、2点、外来品種とのブレンドが発覚。さっそくイギリスのジャーナリストたちに「このテイスティングのコンセプトは何か!」と厳しく追求されていました。

ひとくちにガルナチャとはいえ、かなり軽いものから、ゴッテリ系までさまざまでした。アルコール度が14%以上のものがほとんどで、なかにはAlto Moncayo 2007のように16%のものまでありました。個人的に気に入ったのはソフトで繊細さのある、Gran Viu Garnacha del Terreno 2004DOカリニェーナ)、Cruz de Piedra Capricho 2006 (DOカラタユッド)Baltazar Gracián Calatayud Superior 2005 (DOカラタユッド)でした。

27日はDOナバラのワイン12本。ナバラはかつてロゼ・ワインで有名でしたが、80年代からモダンなタイプのワインつくりに力を入れ、赤が中心になっています。外来品種を多く使用していることから、「なぜカベルネ・ソーヴィニョンだとかメルローだとかを使うんだ!」「ニューワールドと同じじゃないか!」「ロゼはどうしてないんだ!」という海外のジャーナリストたちからのきつい意見が飛んで、試飲は一時停止状態に。DOの統制委員会会長、ピラール・ガルシア・グラネロさんの「ナバラ王国はもともと現フランスの領土も含んでいたし、フィロキセラの被害を受けるまで、これらの品種を栽培していたのだから、一概に外来品種とはいえません。」という応戦もあって、なんとか切り抜けました。

Chivite Colección 125 Reserva 2004はテンプラニーリョ64%、メルロー20%、カベルネ・ソーヴィニョン16%のブレンドで、14ヶ月フレンチ・オークで熟成したもの。ノーブルでエレガントです。Señorío de Sarría Viñedo no.7 2005Pago de Larrainzar 2005 もソフトでエレガント。アルコール度はいずれも14,5%なので、強いはずですが、それをあまり感じさせません。

28日はリベラ・デル・ドゥエロ。ベガ・シシリア、ペスケラ、ピングスなど有名どころを排出するスペイン一級の産地です。

14本を試飲しました。Lagar de Isilla 2006Dominio del Cuco 2005 はティント・フィノ100%で、リベラらしいフルーティさがあってバランスがよかったです。ピーター・シセックという有名な醸造家が指導するHacienda Monasterio Reserva 2005は濃縮感とボリュームが圧倒的ですが、Abadía de San Quince Finca Helena 2005のような繊細で上品さがあるタイプのほうが個人的には好みです。そのラインですが、熟成による品格が感じられるエレガントなPérez Pascuas Gran Reserva 2003が最高でした。

 

 

ミクソロヒア

 今回ミクソロヒアというテーマがマドリッド・フシオンに加わりました。英語ではミクソロジー。つまりカクテルです。カクテルは日本では誰でも知っていますが、スペインではまだあまり普及していません。そこで世界各国からカクテルの専門家を招いて、カクテル談義、カクテル術を披露してもらおうという企画です。



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世界的に有名なロンドンのホテル・サヴォイの「アメリカン・バー」のチーフ・バーテンダー、セイリム・コーリーさんはトラディショナル・マティニの話、世界各国で活躍するスロバキアのスタニスラフ・ヴァドゥルナさんはバーテンダーについての話、ドイツのチャールズ・シューマンさんはドイツ語と英語が混ざった軽妙な口調でバーの話、ペルーのジョニー・シュラーさんはピスコを使ったカクテルの紹介。スペインからはマドリッドの超高級レストラン「エル・カシーノ」のバーを担当するアンヘル・サン・ホセさんと、スーパー・モダンなホテル・ウルバンの「グラスバー」のカルロス・モレーノさんがそれぞれの体験を語り、カクテルを披露しました。

 

 会場は連日、満員でした。果たしてスペインではカクテルが流行るでしょうか?

 

 

ブースのフロア

 講演のほかにも食品やワイン、調理器具などのブースの出展がありました。シェリーとヘレスのブランデーのブースはブランデーのカクテルを試す人でいつもいっぱい。日本の製品を紹介するブースではビールや各種焼酎が人気。なかにはシェリーのペドロ・ヒメネスを熟成していた樽で熟成したであろう甘い香りを持つまろやかな焼酎もあったりして、スペイン人たちの興味を引いていました。

 

 お昼時には担当した自治体がブース階で各種のタパスとワインを振舞いました。ちなみに26日はバーリャドリッド市、27日はアストゥリアス州、28日はアンダルシア州でした。いずれもモダン・キュイジーヌの粋といった感じで、アイデアいっぱいの作品ばかりでした。さすが、マドリッド・フュージョン。でも、贅沢を言わせていただけば、やはり、スペイン各地から出展されていた、ドングリを食べて育ったイベリコ豚の生ハムが一番美味しかったかもしれません。もちろん同じ産地のワインが最高です。

 

 

 

 

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