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パゴ・カルサディーリャ Pago Calzadilla




p0626-001.jpg p0626-002.jpgのサムネール画像

パゴという言葉は辞書には「ブドウやオリーブが植わっている地所、農園」と出ています。けれども、ワインの世界のパゴは、「独自のテロワールを持ったぶどう畑」と考えるといいと思います。

スペインの原産地呼称制度では、「ビノ・デ・パゴVino de Pago:単一ぶどう畑限定高級ワイン」というカテゴリーが2003年のワイン法改正で国内法に採用されました。個性あるひとつのパゴで栽培されるぶどうだけで造られたワイン、それがビノ・デ・パゴです。

パゴ・カルサディーリャは世界最大のぶどう栽培面積を持つラ・マンチャ州の北東部に位置するクエンカ県ウエテ村にあります。ラ・マンチャは十把一絡げでは語れない広大な地域です。このウエテ村にはドン・キホーテの風車がある広大な原野とは全く違った世界がありました。


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パゴ・カルサディーリャはバーリェ・デル・リオ・マリョールValle del Río Mayor、つまり、マリョール川渓谷にあります。といっても標高9001000mです。ボデガの正面からセロ・ラ・パハラCerro La Pájaraという丘にかけてがぶどう畑になっていますが、丘の斜面は遠目に見たより、実際に登ってみるとすごい急傾斜です。おまけに風の強いことといったら、丘の頂上に立ってみようとしたら、吹き飛ばされそうで断念したほどです。そのため、階段状に作られた畑のぶどう樹は一本一本十字の支柱に縛り付けられています。こうしないと飛ばされてしまうのです。けれどもお蔭で、夏も涼しく、病害虫の禍もまずないので、問題なく有機栽培ができるそうです。

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パゴ・カルサディーリャは1979年、建築家のフランシスコ・ウリベスFrancisco Uribes Martínez氏が始めたプロジェクトです。本当に静かで、周りには何もなく、他にぶどうを植えている人もいないのに、この地を選んだのは、子供のころからこの土地を知っていたからとのこと。翌1980年に3ヘクタールの畑にテンプラニーリョ、ガルナチャ、カベルネ・ソーヴィニヨンを植え、1992年、シラーを加えました。トウリガ・ナシオナルも植えてあるそうです。

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そして今、新たに挑戦しているのは、この地の自然とともに栽培するガルナチャです。同じ丘の斜面ですが、段々畑にはしていないし、支柱もありません。風吹きさらす野原で、株づくりのぶどう樹が野の花やハーブの中に見え隠れしています。どんなワインになるのか、将来が楽しみです。

その将来を担うのがフランシスコさんの娘のパウラPaula Uribes Maderoさん。畑は20ヘクタールに増え、新しい醸造設備や熟成庫もそろっています。

まさにパゴといえる条件から生まれるパゴ・カルサディーリャのワインは、その土地の個性とウリベス・ファミリーの愛情がいっぱいに詰め込まれています。

 

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