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マデイラ・ワイン 4 Vinho da Madeira-4

バーベイト Barbeito

 

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2008年の11月に始動した新しいプラントがまぶしい。リカルド・フレイタスさんが、祖父や母から受け継いできた伝統と技術と経験、そして自分の構想を結集してつくった最新式設備だ。

バーベイトhttp://www.vinhosbarbeito.com/ は1991年、日本の木下インターナショナル株式会社と提携し、ファミリーの一員、リカルドさんがワインつくりの先頭に立つことによって、新しいステップを踏み出した。品質本位ということでバルク出荷はやめた。

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リカルドさんが導入したもののひとつはロボッティック・ラガール。ラガールはぶどうの踏み桶のことだ。人間が足で踏むのが理想なのだが、それは難しい。そこで機械にその動きをしてもらう。タンクの中にはペダルが付いた3本のバーが取り付けられていて、中央と両サイドが交互に動く仕組みだ。ティンタ・ネグラ種を使う。「私はティンタ・ネグラに可能性を感じています」という。

バーベイトももちろん古いヴィンテージはたくさん持っているが、今回はあえて変わったセッティングの試飲だ。生産工程のワインを試す。

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まず2011年収穫のティンタ・ネグラで、ロボティック・ラガールでつくったワインと、ニューマティック・プレスでつくったワインを比べた。プレスの方はロゼワイン色で、甘いフルーツジュースのよう。ラガールの方は明らかに濃厚な赤ワイン色をしていてルビー・ポートのようだ。次に1年間樽に入れたもの。これもプレスの方はうっすらピンクの名残はあるものの、すっかり褐色になっている。一方ラガールの方は、色落ちが少なく、きれいな赤ワイン色をしていて、甘さが落ち着いている。その後最初にラガールを使おうと思った最初の年である2005年のワインまで順番に試飲。樽の中のワインは水分が蒸発するので量が減ってくるが、足さないで、酸化の状態によって樽の位置を移動させたものだ。2005年の収穫で使ったのはラガールとはいえ、ロボットではなく、ドラムの中のぶどうを櫂で押す、全くの手動方式だったそうだ。艶のあるきれいな琥珀色のワインで、繊細で自然な落ち着きのある風味になっていた。

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リカルドさんは他にも、シングル・ヴィニャードやシングル・カスク、島の北部の畑のぶどうのワインなど、様々なワインをつくっている。彼のマルヴァジア20年、ロット10292はポルトガルのワイン雑誌「A ESSÊNCIA DO
VIHNO
(ワインのエッセンス)」で2011年のポルトガル最高のワインに選ばれた。2022年熟成のもの80%に60年以上熟成したものを20%ブレンドしたもので、「これはジェネレーション・ショックです」という。古いワインをブレンドすることによって、フレッシュさに深みや複雑みが加わる。1回目はチャレンジだが、2回目はもっとチャレジです。」とリカルドさんの探究心は尽きない。

 

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