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Vinoble 2018 -I秘蔵のシェリー Tesoros del vino de Jerez

n 今年は、ヘレスで隔年に開催される酒精強化ワインと甘口ワインのフェア「VINOBLE」の年でした。開催日は6月3日から5日までの3日間。会場は12世紀建造のイスラムの城砦、アルカーサルです。その一角にはイスラム教寺院、メスキータがあり、そこで数々のセミナーが開催されます。

今回は「サン・ヒネスの宝物Tesoros de San Ginés」というテーマのセミナーがありました。シェリーの原産地呼称統制委員会Consejo Regulador de las DD.OO. Jerez y Manzanillaの建物の中にある「サン・ヒネス」という名の熟成庫に眠っているワインを試飲しようという試みです。講師は統制委員会会長のベルトラン・ドメックBeltrán Domecq氏と事務局長のセサル・サルダーニャCésar Saldaña氏。

試したシェリーは1)ガーベイ社の8年熟成のオロロソを2003年に樽に詰めアンドリュー・モーションAndrew Motionという詩人に捧げたもので、トータルで23年熟成。2)1971年に前スペイン国王夫妻がサインした樽の50年以上熟成のオロロソ。3)1970年にカナダに捧げられた樽のもの。4)1954年ロタに捧げられた樽のもの。5)1953年にチピオナに捧げられた樽のもの。6)1949年エル・プエルト・デ・サンタ・マリアに捧げられた樽のもの。7)1948年、最初の収穫祭の主祭に捧げられた樽のもの。

ヘレスでは1948年から9月に「収穫祭」を行い、翌1949年から毎年テーマ都市やテーマ国(1956年からシェリーの輸入国)を決め、ワインを捧げてきました。3から7番はその年の収穫で造ったワインが、酒精強化され、統制委員会のボデガ「サン・ヒネス」で、熟成されてきたものです。

最も古いワイン2つをデータで比べると、48年は年間降水量280ミリほどなのに対して49年は646ミリと、2倍以上。収穫されたブドウの特性は全然違っていたでしょう。熟成樽それぞれの特性や、熟成期間に樽が置いてあった場所も影響します。48年はボタ・プンタ、つまり樽の列の端っこに置かれていました。ということは横と上に空間が。数値として大きく違っていたのはアルコール度と残糖でした。69年熟成の49年のものはアルコール度26.6%、70年経った48年のものは23.1%。残糖は49年の10g/ℓに対し、48年が16 g/ℓ。49年はきれいな酸が感じられる非常にバランスの良いエレガントなワイン。48年は凝縮感があり、口当たりが大変まろやか。「オロロソか、パロ・コルタドか」というコメントでした。

樽一つ一つが、人でいえば個人。それぞれの人生を生きてきています。長寿のシェリーの面白さを体験させていただきました。まさに「宝物Tesoro」でした。

 

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