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カサ・グラン・デル・シウラナCasa Gran del Siurana en Priorat


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 バルセロナの港に近いエスタシオン・フランサから電車で1時間半ほど行くと、ガウディの生誕地、レウスに到着します。若者も多く、にぎわいのある駅です。そこに迎えに来てくれたのはプリオラトのボデガ「カサ・グランデ・デル・シウラナCasa Grande del Siurana」の醸造家アナ・ガリサ・メストレAnna
Gallisá Mestre
さん。これから二人でボデガに向かいます。プリオラトは山あり谷ありの山の中です。

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 やってきたのはベルムント村。プリオラトのなかでは南に位置しています。

カサ・グランは原産地呼称エンポルダの最大手、カスティーリョ・ペレラダがプリオラトに進出してつくったボデガで、2か所に畑を持っています。

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畑に行くには4輪駆動に乗り換えます。責任者のジョルディ・アレントロン・トルネJordi Alentorn Tornéさんもご一緒です。まず訪れたのは、ラ・フレダドLa Fredadという名前の、山の上の方の傾斜地の畑です。リコレーリャというプリオラト特有の粘板岩土壌です。途中で、道を切り開いた時に削られてできた岩壁に、上に生えている木の根が露わになっている部分があり、根がリコレーリャの隙間を縫って地中深く伸びているのがよくわかりました。ぶどうの樹は地中1012mぐらいまで根を伸ばすそうです。

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 畑は山肌のスロープにそのまま樹を植えているところと、スロープに段々をつくって植えているところがあります。どの列にも必ず車でアクセスできるように考えられているのが新しいボデガならではの素晴らしいアイデアです。そうでないとこの地形では、収穫は特にそうですが、畑での作業はとんでもない重労働になってしまうのです。ここで栽培しているのは、プリオラトの基本的品種であるガルナチャとカリニェーナ、モナストレル、そしてフランス品種のカベルネ・ソーヴィニヨンとシラーです。

 

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次はボデガの名前、カサ・グランデ(大きな家の意味)のもとになっている大きな家があるカサ・グランデCasa Grandeという畑です。正面に建っている石造りの頑丈そうな家は、かつてスカラ・デイ修道院の修道士たちが療養や避寒のために作った家だそうです。この地域はプリオラトのなかでは気温も湿度も高めなのです。ボデガの名前にあるデル・シウラナが示すように、シウラナ川がすぐ横を流れています。訪問した時は、前日が豪雨だったとのことで、川は橋の上まで水位が上がっていて、歩いて渡るなどとてもできない状態でした。畑は、川が運んできた土が堆積した石灰粘土質土壌で、平たんなため、この日はここにも水が溜まっていました。こちらの畑ではカベルネ・ソーヴィニヨン、カベルネ・フラン、シラー、メルローを栽培しています。

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 こうした全く異なる特性を持つ畑を持っていることで、カサ・グランは複雑味のある、奥行きの深いワインをつくることができるのです。

 

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試飲は、地域一帯が見渡せる丘の上のオリーブの木の下で。「GR174」は、濃いワインというイメージが強いプリオラトとしてはとても飲みやすいワインです。と言ってもやはりしっかりしたフルーツの力は生かされています。「クルオールCruor」はガルナチャとカベルネ・ソーヴィニヨンにカリニェーナ、シラー、メルローを加味したもので、14か月フレンチ・オーク樽で熟成してあります。重すぎず軽すぎず、果実味もよく熟れた、まとまりのいいワインです。これは、昼食に食べた、この地域の伝統的な腸詰類と野菜と白いんげん豆の煮込み料理、マンドンゴMandongoにぴったりでした。

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 このボデガのトップ・ブランド「グラン・クルオールGran Cruor」はシラーをベースにしたワインで、大変高い評価を得ています。アナさんは「これは素晴らしいワインなので、これからもつくりつづけていきます。けれども、ガルナチャとかカリニェーナとか、地元の品種を生かしたトップ・ワインもつくってみたいと思っています」と言っていました。彼女が手掛ければ、きっと素晴らしいワインができることでしょう。楽しみです。

 

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