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モンサン D.O. Montsant 1.

4月中旬、モンサンを訪問しました。Montは山、Santは神聖な、つまりモンサンは聖なる山を意味しています。どこにあるかというと、カタルーニャ地方の山の中です。と言っても、海からそれほど遠くありません。ただ、北にはシエラ・デ・モンサン、東にはシエラ・デ・ラ・フィゲラ、南東にはシエラ・デ・ラベリアがあり、中心部は別の産地、スペインで2か所しかない特選原産地呼称のひとつであるプリオラトが占めています。つまり、プリオラトを囲むC字形をした珍しい産地なのです。そのため、北と南、東と西ではずいぶんブドウの栽培条件が違うはずなのに、どうして一つの原産地呼称にまとめられているのか不思議に思っていました。

今回それを、原産地呼称統制委員会の会長で、セレール・サン・ラフェルのオーナーでもあるピラール・ジュストさんに伺ったところ、何層にも重なった地層が隆起し、粘板岩層が一番上になって表面に出た部分がプリオラトで、粘板岩層の上に重なっていた様々な土壌が崩れて周囲に溜まったのがモンサンです、という大変分かりやすい回答をいただきました。

モンサンは地域によって気象条件も違えば、土壌も違う、でも、成り立ちは一つということからまとめられているのでした。

今回、モンサンにはバルセロナから電車で行きました。空港から一旦バルセロナのターミナル駅サンツに行き、そこから約2時間。左手に地中海を見ながら、途中、ローマの遺跡群が世界遺産に認定されているタラゴナや、ガウディの生誕地レウスを通って、マルサ・ファルセットまで行きます。駅に着くと、電車到着に合わせてミニバスが待っていて、隣村のマルサ経由でファルセットの町の中心地まで2ユーロで連れて行ってくれます。

マルサも原産地呼称認定地のひとつですが、ファルセットが中心地です。もともとファルセットは原産地呼称タラゴナに属していたのですが、特性が異なるということから、2001年に認定された原産地呼称モンサンに統合されました。けれども、モンサンの中心地、そして前出のプリオラトへの入り口にもなっています。

モンサンは2008年からサブゾーン化を図っていて、現在は6つに分けられた各地区名には17ある村の名前が列挙されています。

http://www.domontsant.com/sites/default/files/Dossier%20Montsant%20(ESP)_0.pdf

北東部のコムデーリャ・デ・モンサン、ウルデモリンスは前者が沈泥、後者が石灰質、粘板岩、小石の土壌ですが、標高が400~700mと原産地呼称内では一番高く、降水量は500㎜以下。北西部のラ・フィゲラ、カバセス、ラ・ビスバル、マルガレフ地域は石灰質の下層を持つ粘土質の土壌で、標高は300~500m。降水量は400㎜ほどです。その南に連なるエル・モラール、エル・マスモイチダルモス地域は、標高が低く50~300m。降水量が440㎜。ここは多様な土壌で、粘土質、沈泥、砂地、粘板岩もあります。その東隣がマルサン、カプサネス、エル・ガメッツ、ラ・セラ地区。ここは、標高100~500m、年間降水量525㎜ですが、年間平均気温が一番高く、16℃ほど。北西部のラ・フィゲラ地区の13.37℃と比べるとかなり高いです。個々も様様な土壌がありますが、粘土質が中心。その北東部に接しているのがファルセットです。ここは標高300~400m、降水量が多く650㎜。ここは砂質。けれども粘板岩や花崗岩質の土壌もあり。その東隣のプラデル・デ・ラ・テイシェラ、ラ・トーレ・デ・フォンタウベーリャはさらに少し降水量が多く670㎜。ここは地元でパナルと呼ぶ沈泥土壌。石ころが多く、砂質で石灰質。

現在、認定ブドウ栽培面積は1800ヘクタールほど。黒ブドウ品種が94%を占めています。主要品種はガルナチャ・ティンタとカリニェーナ。この2つで黒品種の66%。ただ、今回気になったのはガルナチャ・ペルダとピカポル・ティント。ワインメーカーたちもこの品種には注目しているようです。白はガルナチャ・ブランカとマカベオが中心です。

<ボデガ訪問記へ続く>

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