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VINOBLE 2026 II

VINOBLEのもう一つの魅力はテイスティングセミナーです。モリーノ会場とメスキータ会場合わせて3日間で18件ありました。

テイスティング・セミナー

5月30日(土)

・ルスタウ社のVORS(30年以上熟成)シェリー

・ブリュッセルの世界ワイン・コンクール(1994年創設)の甘口と酒精強化ワイン部門受賞ワイン

・6人の女性醸造家によるマラガ各地のワイン

・世界で最も古いワイン

5月31日(日)

・ポートワイン:人的要素の遺産

・PX+T=MM : ペドロ・ヒメネスから生まれるモンティーリャ・モリーレス

・ゴンサレス・ビアス:クリスティーのオークションにかけられるワイン

・サンルーカル:白ワインからサクリスティアの至宝まで

・ゴールデン・ノーブル:貴腐からピュアな甘さまで

・起源の価値:マチャルヌードの塔byハーベイズ

・フランス式酵母の膜:ジュラにおけるスペインの足跡

6月1日(月)

・液体遺産:ユネスコ無形文化遺産候補、地中海の酒精強化ワイン

・生物学的熟成の表現:マンサニーリャからハンガリー、イタリア、南アフリカ、ジュラのワインまで

・新しいフランスの酸化系ワイン

・長期酸化熟成タイプの辛口ワイン

・ヘレスのカパタス(セラーマスター):宝物の番人

・カナリー・ワイン:歴史とともに変遷したワイン

・パゴの足跡:バルデスピノのワインのアイデンティティとテロワール

 

そのうち参加させていただいたセミナーは4件。

1)ブリュッセルの世界ワイン・コンクールの甘口と酒精強化ワイン部門受賞ワイン

シェリー原産地呼称統制委員会プロモーション・ディレクターのカルメン・アウメスケットとブリュッセル世界ワイン・コンクールのチェアマン、ボードゥアン・アヴォーに、マルサラのメーカー「フローリオ」の醸造家トマソ・マッジオが加わって、今回のコンクールで受賞した9本のワインの風味の要素をグラフィックに検証。

試飲したワインは次の9種類。

– Harveys 30 Years Old VORS Oloroso – Bodegas Fundador (D.O. Jerez-Xérès-Sherry, España)

– Amontillado Superior 19,6 Años de Vejez – Bodegas Cayetano del Pino & Cía (D.O. Jerez-Xérès-Sherry, España)

– Porto “Monge” Tawny 10 Años – Adega de Favaios (D.O.C. Oporto/Douro, Portugal)

– Quinta da Oliveirinha Porto Vintage 2020 – Alves de Sousa (D.O.C. Porto, Portugal)

– Marsala Superiore Riserva Semisecco 2008 – Cantine Florio (D.O.C. Marsala, Italia)

– Marsala Vergine Riserva 2006 – Cantine Florio (D.O.C. Marsala, Italia)

– Maury Ambré 2016 – Les Vignerons de Maury (A.O.C. Maury, Francia)

– Banyuls Centenaire 2000 – Cave l’Étoile (A.O.C. Banyuls, Francia)

– Coteaux du Layon Château de Fesles 2023 – Maison Lacheteau (A.O.C. Coteaux du Layon, Francia)

飲み比べる機会がなかなかない、スペイン、イタリア、フランスの“ノーブルな”ワインでした。マルサラはイタリアとは言え、シチリア島の西の端なので少し遠めです。フローリア社は1990年代に訪問したきりで、とても懐かしく、あらためて、質の高いマルサラをもっと知っていただきたく思いました。

 

2)PX+T=MM : ペドロ・ヒメネスから生まれるモンティーリャ・モリーレス

DOモンティーリャ・モリーレスMontilla-Moriles=MMのコンサルタントで醸造家のクリスティーナ・オスナが分かりやすく解説。アンダルシアの内陸部にあるコルドバ県のワイン産地MMは長い歴史を持つワイン産地。アルバリサ土壌で栽培されるペドロ・ヒメネスという一つの品種から様々なタイプのワインが造られています。シェリーとタイプ名が同じワインを造っているため、日本では混同されていることがよくありますが、はっきり区別したい産地です。

試飲したワインはPXという一つの品種のブドウから造られる瓶内二次発酵の伝統的製法によるブルット・ナトゥレのスパークリングから長期熟成・極甘口のPXまで9タイプ。

– Espumoso Brut Nature · Bodegas Robles

– Sobretablas · Lagar Santa Magdalena

– Fino 7 · Lagar Blanco

– Fino viejo en rama – Lagar de los Frailes

– Criadera A · Bodegas Alvear

– Mantulia Oloroso Solera 10 años – Navisa

– Palo Cortado · La Inglesa

– Amontillado Marqués de Poley 1954 · Toro Albalá

– Pedro Ximénez 1905 · Pérez Barquero

PXの面白さ、そしてPXの底力を感じさせるテイスティングでした。

 

3)液体遺産Patrimonio Líquido:ユネスコ無形文化遺産候補、地中海の酒精強化ワイン

リキッド=液体の遺産という聞きなれない言葉がテーマです。ここで液体が意味するものはもちろんワイン。地中海地域一帯で造られるノーブルなワインをユネスコの無形文化遺産にするという意図です。2024年に認定された日本の伝統的酒造りに匹敵するものでしょう。酒精強化ワインという分野で長い歴史と文化のあるシェリー、マルサラ、サモス、ルシヨンが参加しました。

シェリーの産地はスペイン、アンダルシア州の南西の端、地中海ではなく大西洋岸にあるのですが、リーダー的な立場として、原産地呼称統制委員会会長セサル・サルダーニャが紹介。続いて、シェリーをお手本に作られたイタリアのシチリア島マルサラのワインは、1875年創業のファミリー企業クラトロ・アリニ社の6代目、アレクサンドラ・クラトロが解説。続くルシヨンのヴァン・ドゥ・ナトゥレはバーナード・ルービーがプレゼン。最後はギリシャのサモス島からコマーシャル・マネジャーのティトス・サラントス・フランツィスが貴重な60年以上熟成のリキュール・ワインも紹介して、8本の試飲が終了。

‐Fino Panesa – Bodegas Emilio Hidalgo (D.O. Jerez-Xérès-Sherry, España)

‐Oloroso Muy Viejo Solera Alfonso Especial 3/6 – Bodegas González Byass (D.O. Jerez-Xérès-Sherry, España)

‐Marsala Vergine Riserva 2010 – Curatolo Arini (D.O.C. Marsala, Italia)

‐Marsala Superiore Secco Riserva 1988 – Cantine Fici (D.O.C. Marsala, Italia)

‐Histoire de Familles – Vin Doux Naturel (Rousillon, Francia)

‐Président Henry Vidal 2008 – Vin Doux Naturel (Rousillon, Francia)

‐Samos Vin Doux – Samos Wines (D.O. Samos, Grecia)

‐Samos 1963 Añada Especial – Samos Wines (D.O. Samos, Grecia)

世界遺産に認定された折には改めて行ってみたいと思います。

 

4)カナリア諸島のワイン:その歴史を辿る

カナリア諸島はスペイン領とはいえ、本土から1,000㎞、アフリカ大陸から100㎞。新大陸発見にまつわる大航海時代に中継基地として栄えたところです。シェークスピアの時代、英国でカナリー・サックと呼ばれ、大人気を博したマルバシアの甘口ワインから、現代まで、時代の志向に合わせて進化してきた島のワインを、原産地呼称カナリア諸島Islas Canarias統制委員会会長フアン・ヘスス・メンデスが解説。

– Viñátigo Malvasía Aromática 2024 · Bodegas Viñátigo

– Viñátigo Ensamblaje Blanco 2024 · Bodegas Viñátigo

– Marmajuelo Blanco Seco 2024 · Bodegas Linaje del Pago

– El Linaje Listan Negro ‐Bodegas Linaje

– Tinto Monje Listan Negro – Bodegas Monje

– Can Tinto 2023 · Bodegas Tajinaste

– El Lomo Listán Negro 2024 · Bodegas El Lomo

– Viña Zanata Malvasía Dulce 2024 · Bodega Viña Zanata

イベリア半島本土から離れた島だけに、かつてヨーロッパからもたらされた品種がフィロキセラの害に遭わずに残り、今となってはここにしかなくなってしまった品種が使われていたり、火山島なので土壌が大陸とは異なったりするため、洗練された中にもにじみ出る個性がうかがわれます。今注目の、島のワインです。

 

 ワインは市場の志向によって変わっていきます。今回はテロワールを表現したワイン造りの主張として、ブドウ畑名をラベル表記した、畑別のワインの新製品が多く出展されていました。もうひとつは低アルコール志向のためか、VINOBLEの趣旨とずれているかと思いますが、酒精強化ワインではない、スティルワインが増えたことが挙げられます。

シェリーの世界では、最低アルコール度数が15%から14%に下げられ、DOシェリーの他にスティルワインのDOビノス・デ・アルバリサが認可され、1つの統制委員会の管理下に置かれることになりました。

次のVINOBLEは2年後、2028年の予定です。今後2年間で、さらにいろいろ変化が起来ていることでしょう。次回が楽しみです。

 

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