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VINOBLE 2026 I

第13回を迎えるVINOBLEが 2026年5月30日(土),31日(日)、6月1日(月)にアンダルシア州のシェリーの町、ヘレス・デ・ラ・フロンテラ(略称ヘレス)市で開催されました。VINOBLEはノーブルなワインVino Noble、つまり世界の酒精強化ワインと甘口ワインを集めた、他に例のないワインの試飲商談会です。 会場は例年のアルカサルAlcazar(アラブの城塞)。今回は異例の土曜日午後5時=17:00開会で21:00まで。あとの2日は10:00~21:00開催でした。ただし、14:00~17:00はランチタイムで休憩。

主催者側の発表によると、総来場者数7,389名。世界40か国から5,000名以上の申し込みがあり、116社が出展した800アイテム以上のワインが試飲されたとのこと。

毎回、この時期はかなり暑いのですが、今年の暑さは半端ではなく、そのせいか、来場者が少なかった印象がありました。開催時間が短かったことも影響しているでしょう。VINOBLEの公式サイトに2024年の来場者数は1万人以上と書かれていることからして、今回は3/4規模だったようです。

メインの試飲会場はアルカサル内に17世紀に建てられたバロッコ建築のビリャビセンシオ城Palacio de Villavicencioで、2フロア使用。パティオはサン・フェルナンドとモリーノの2か所があり、どちらもブースはテントなので、炎天下、かなり苦しい状況でした。

意欲的な新しいメーカー、伝統的なメーカーの新製品に興味深いものがあり、内容としては、さらに国際化と多様化が進んだ感があり、テイスティング・セミナーも興味深いテーマがありました。

試飲会場 :ビリャビセンシオ城

有名な大手メーカーも意欲的な新しい生産者も入り混じって、新しいワイン体験ができる場でした。

1階右入り口にホセ・エステベスJosé Estévezのブースがあり、主要ブランドのバルデスピノValdespinoの製品にはパゴの名前入りのスティルワインが紹介されていました。Valdespino Macharnudo Bajo, Viña Los Arcosはマチャルヌードという質の高いことで知られるパゴの中で、標高が低い(Bajo)位置にある、2018年にオーガニック認定されたロス・アルコス畑で栽培されたブドウを使用し、樽発酵したもの。Viña Valdespino Single Vinyard Macharnudo Altoは同じくマチャルヌードですが標高が高い(Alto)区画にあるバルデスピノ畑単一のワインです。いずれも品種はシェリーと同じ、パロミノ・フィノです。

左側の入り口横にはペドロ・ヒメネスに特化したメーカー、ヒメネス・スピノラXiménez Spínolaがあり、いつに変わらぬ大盛況でした。シェリーのメーカーとしては唯一PXだけにこだわったワイン造りが注目されています。

アンダルシア州にある原産地呼称5つのうち酒精強化ワインを造っている4つがこの会場に出展しました。

DOコンダド・デ・ウエルバCondado de Huelvaは地場品種サレマの白ワインが主力商品ですが、伝統的にシェリーと同じタイプのワインも造っています。そして、コンダド・デ・ウエルバにしかないビノ・ナランハVino Naranjaというオレンジの香りを付けたワインにも注目していただきたいです。今流行のオレンジ・ワインとは別物です。

DOモンティーリャ・モリーレスMontilla-Morilesは例年のようにパティオに面した広いスペースを取っています。もともとスティルワインからクリアデラとソレラのシステムで長期熟成したワインまで、多くのタイプのワインがありますが、最近の傾向としては、どのタイプのワインでも、DO認定地域内のどの地域の畑のブドウを使っているかが、かなり詳しく語られるようになっています。畑作りからスタートした完全オーガニックワインのパイオニア、ロブレスRoblesも変わらぬ人気でした。ラ・イングレサLa Inglesaもエレガントなスタイルの伝統的なタイプを揃えて出展していました。今回初めて出会ったラガール・ブランコLagar BlancoはPXの白ワインのティナハTinajaを出展していました。これは発酵が終わったワインをティナハというコンクリート製の巨大な円筒形の壺で保持したもので、クリアデラとソレラの熟成システムに入る前の状態と思っていい状態のワインです。

同じスペースに出展していたのはアリカンテです。ボデガ、シャロXalóはモスカテルの甘口ワインの生産者ですが、ジロGiróという、DOアリカンテやDOバレンシア南部の地場品種の黒ブドウで造った赤ワインもあり、こちらにも興味を引かれました。けれどもアリカンテと言えばフォンディリョンFondillónです。地場品種の黒ブドウ、モナストレルの過熟したもので造られ、10年以上樽熟されてできるビノ・ナトゥラルメンテ・ドゥルセVino Naturalmente Dulce(アルコールは自然発酵によるものだけで、ブドウの甘さが残ったワイン)です。産地はアリカンテだけのごく限定ワインです。

 2階ではDOシェリーJerez-Xérès-Sherry統制委員会が広いスペースを展開し、タイプ別のコーナーで多くのボデガの製品を出展していました。中でも長期熟成タイプのVOSVORSのコーナーはいつも人でいっぱいでした。

その周辺はシェリーのメーカーのブースが固めています。ゴンサレス・ビアスGonzález ByassではエリサElisa 2024というパロミノの白ワインを発表。カラスカルCarrascalというパゴ(畑の地区)のブドウだけを使い、もとアモンティリャドを熟成していた樽とオロロソを熟成していた樽を使って熟成したもので、とてもエレガントで旨みがありました。

 隣のスペースには前回知り合ったヘレスのボデガス・エスピノサ・デ・ロス・モンテロスBodegas Espinosas de los Monterosファウスティノ・ゴンサレスFautino Gonzálezと、共同ブースを構えていました。前者エスピノサは家族経営の小規模なボデガで、大変エレガントで深みのある長期熟成のシェリーを生産しています。ファウスティノ・ゴンザレスも同じく家族経営の小さなボデガで、モンテアレグレというパゴPago de Montealegreにある7haの自社畑でオーガニック栽培したブドウだけを使用し、樽発酵したワインをベースとして、高い品質を維持しています。

 大手のボデガではウィリアムズ&ハンバートWilliams & Humbertアニャダ(シングル・ヴィンテージ)のコレクションColección Añadasを紹介していました。フィノ・アルボレアFino Alboreá 2012、アモンティリャドAmontillado 2010、パロ・コルタドPalo Cortado 2002など、いずれもエン・ラマen ramaです。ブドウはアニーナとカラスカルのパゴPagos de Añina and/or Carrascalのものを使用しています。もともとアニャダに力を入れていたボデガだけに、このコレクションが継続されればとても面白いものになりそうです。フィノではパゴ・カラスカルのなかのドス・メルセデス畑Viña Dos Mercedesのパロミノだけを使い、天日干しして果汁の糖度を上げたものをプレスし、酒精強化なしでアルコール度14%以上を得たワインを4年樽熟したフィノリス・エン・ラマFinolis en Ramaを造っています。

 サンルーカルのバルバディーリョBarbadilloではアルバ・バルバイーナAlba Balbaínaというスティルワインを試飲。バルバイーナという名のパゴの標高の高い地区Barbaína Altaにある畑のパロミノ・フィノのフリーランジュースだけを使い、シュールリで造ったワインです。まだIGPティエラ・デ・カディスで販売されていますが、多分次の出荷からは新しいDOビノス・デ・アルバリサVinos de Albariza(シェリー産地で造られるスティルワイン用の新しい原産地呼称)になると思われます。

 DOマラガは長い歴史のある、イメージ的にはシェリーのクリームのような感じの甘口ワインで知られていましたが、最近はマラガ県全体を認定地域とするDOシエラス・デ・マラガのスティルワイン造りの方に活気があるようです。ただ、今回はVINOBLEです。伝統的なマラガで知られるボデガ、キタペナスBodega QuitapenasBibirというラベルが注目されそうなワインを紹介しました。オーガニック栽培のモスカテル・モリスコを天日干ししてから搾汁し、発酵させ、樽熟したVino Naturalmente Dulceで、快いワインでした。ファビオ・コウリェットBodega Fabio Coulletも甘口モスカテルを出展していましたが、横には同じ品種で造った辛口白ワインが!。どちらもおいしいです。

試飲会場:パティオ

大きい方のパティオ、サン・フェルナンドにはルスタウLustau、トラディシオンTradicíón、エミリオ・イダルゴEmilio Hidalgo、オスボルネOsborneといった日本でも既に名の通ったボデガが出展していて、安定した人気がありますが、新しいボデガのブースはこの機会に試そうという人でいっぱいでした。

 

テリトリオ・アルバリサTerritorio Albarizaはウィリー・ペレスWilly Pérez、ラミロ・イバニェスRamiro Ibañez、ピーター・シセックPeter Sisseckといったアルバリーニョ土壌の各畑のテロワールを表現したワイン造りを提唱する著名な造り手が集まったグループで、フォルロングForlong、ルイス・ペレスLuis Pérez、デ・ラ・リバM. Ant. de la Riva、メリディアノ・ペルディド Meridiano Perdido、ムチャダ・レクラパルトMuchada Leclapart、プリミティボ・コリャンテスPrimitivo Collantes、ラミロ・イバニェスRamiro Ibañez、サン・フランシスコ・ハビエル San Francisco Javier、ルイス・ペレスLuis Pérez の8社で構成されています。大半が日本にも入ってきているボデガです。

今回初登場のUVA: Unión de Vinificadores Artesanos手作りワイン生産者同盟はエネルギーいっぱい。VINOBLEのガイドによると8社が参画しているようです。人込みをかき分けてたどり着いたのがミゲル・カストロMiguel CastroというDOモンティーリャ・モリーレスのボデガでした。オホ・イ・コイーリョOjo y Coílloというブランドの白ワインのラベルにリオフリオ・アルトRiofrío Alto と ベネベンテ・アルトBenavente Altoと畑の名前が明記されています。畑違いは面白いです。さらに、この地域ならペドロ・ヒメネス100%かと思ったら、そうではなく、前者は85%、後者は95%で、残りはその地の地場品種各種なのだそうです。樽発酵、樽熟成。手間をかけています。

同じブースにいたドミニオ・デ・ラス・アニマスViña de las Ánimasはヘレスのボデガでした。ボデガ名は畑名。畑はパゴ・バルバイナPago Balbaínaのエル・プエルト市に属する部分にあります。2020年に始ったプロジェクトとのこと。彼らのホームページによると、かつて栽培されていた品種の復活を目指して、ティンティーリャ・デ・ロタ、パロミノ・デ・ヘレス(パロミノ・フィノではない)、ペルーノ、ビヒリエガ、マントゥア・デ・ピラ、ハエン・ブランコを栽培しているとのこと。将来が楽しみなボデガです。

もう一つのパティオ、モリーノの方にはガストロノミ―・テントが設定され、アンダルシアの食材とワインのペアリングを試す11のセミナーが行われました。テーマには原産地呼称ハブーゴとロス・ペドロチェスのイベリコ種の生ハムや、アルマドラバのマグロ、チーズなどが選ばれていていました。

ボデガのブースはその周りに設定されています。Dios Bacoディオス・バコ(バッカスの神の意味)はボデガ名をパロミノ・イ・ベルガラPalomino y Vergaraに変更していました。その歴史は1848年に遡りますが、パロミノ氏とベルガラ氏が20世紀初めに事業として創業しています。1992年に現オーナーになってからディオス・バコを名乗っていましたが、最近、もとの名称に戻したようです。ヘレスの駅の近くにディオス・バコの像を冠したボデガがあります。

 ボデガス・アルコンBodegas Halcónはシェリーの産地の中では1か所だけカディス県ではなくセビーリャ県に属するレブリハという町にあります。シェリーの熟成認可都市のなかでは内陸に位置していますが、グアダルキビール川が近いという条件で熟成されたワインはヘレスともエル・プエルトともサンルーカルとも違った風合いです。美しい大邸宅を使った優雅なボデガです。

他にもたくさんのブ-スを訪問しましたが、ワインも、造っている人たちも、どちらもそれぞれ個性にあふれていて、興味の尽きないワインフェアです。

 

VINOVLE 2026 IIに続く

 

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