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VPエル・テレラソ/ムスティギーリョ VP El Terrerazo/Mustiguillo

ビノ・デ・パゴ(単一畑限定高級ワイン)Vino de Pago=VPエル・テレラソEl Terrerazoのボデガ、ムスティギーリョMustiguilloを訪問しました。グランデス・パゴス・デ・エスパーニャ=GPE https://grandespagos.com/en/home-en/ の一員でもある、自社畑のテロワールの表現を大切にしたワイン造りに徹するボデガです。

ボデガは原産地呼称=DOウティエル・レケーナ認定地域内東部の山裾にあり、フィンカ・エル・テレラソとフィンカ・カルベストラFinca Calvestraという2つの地所に畑を持っています。

現オーナー醸造家のトニ・サリオンToni Sarriónさんのファミリーが1972年にフィンカ・エル・テレラソを入手。彼は幼少期をここで過ごしました。後にビジネスの経営管理を学び、様々な分野で経験を積みましたが、故郷に帰還。1990年代半ばになって、醸造学とブドウ栽培を学び始めます。同時に、世界の主要なワイン産地を訪れ、知識を吸収していきます。結果、良いワインは地場品種で造られると得心。地元の地場品種ボバルを用いて高品質のワインを造る計画に着手します。

まだボバルは量産のバルクワイン用だった時代、トニさんは畑の土壌を徹底的に調べ、被覆植物を始めとするブドウ栽培の様々な条件を研究し、ボバルの可能性に賭けました。

そして2003年、始めてボバル100%のワイン「キンチャ・コラルQuincha Corral」がアメリカとスイスのディストリビュータに売れ、翌2004年にはパーカー・ポイント95点という、ボバルのワインとしては初の高い評価を受けるに至ります。そして2010年、フィンカ・テレラソがDOPビノ・デ・パゴに認定されました。

レケーナのブドウ栽培ワイン醸造学校Escuela de Viticultura y Enonogiaの前でトニさんと待合せ、早速畑へ向かいました。

山道を登った林の中に、畑が見渡せる展望スポットがありました。トニさんはさっそく写真や地図やイラストの入った分かりやすい資料を取り出して、説明してくださいました。

彼は目の前に広がる一帯をレケーナ・ウティエル谷(盆地)Valle  de Requena-Utielとかレケーナ・ウティエル高原台地Altiplano  de Requena-Utielと呼んでいます。メセタMesetaという表現もあります。いずれにしろ周囲を山に囲まれた標高の高い平地です。彼の畑は東側のイベリコ山系の南の端、ネグレテ山脈の山裾にありますが、そこから西に広がる一帯をラ・マンチャのプレリュードとも表現しています。それは、その西の境界線であるカブリエラ川流域の緑のベルトの向こうは広大なカスティーリャ・ラ・マンチャのメセタだからです。ここは約70㎞東にある地中海の影響を受けつつ、内陸性気候の要素も持っている地帯であることが分かります。

ネグレテ山脈の頂上から下方に厚さ60㎝ほどの石灰質の層が被っていますが、その途中のローム砂質の土壌に覆われている岩棚部分に彼の畑はあります。エル・テレラソとカルベストラには砂と各種堆積物の混ざり具合の違いがあるため、栽培するブドウ品種が違います。

この日訪問したフィンカ・エル・テレラソは見たところ表面はかなり赤い色の土壌ですが、その下は石灰質の層で、すぐ近くにある断崖で、その状態がよく見えます。ここではボバルをメインとする黒ブドウを主体としています。もう一つのフィンカはメルセゲラを始め、ヴィオニエ、マルバシアなどの白品種が主です。

林の中の展望台では古樽で発酵したフィンカ・カルベストラ・メルセゲラFinca Calvestra Merseguera 2025とメルセゲラとチャレロ半々のブレンドのオレンジ・ワイン、ペラ・ロケスPela Roques 2024を試飲。今回は訪問できなかったフィンカ・カルベストタの、標高920m、ローム砂質の石灰質土壌の畑で栽培されているメルセゲラを使っています。トニさんは地場品種メルセゲラの復活に力を入れています。その畑では60~70年の樹は株仕立て、18年のものは垣根仕立てとのこと。背筋の通ったボリューム感のある白です。

途中にある畑をチェックしながら、ボデガに移動。ずらっと並んだ大きな木樽では、今まさにボバルが醗酵中。

ボデガでの試飲は赤です。ペラ・ロケスPela Roques 2024はピュアな石灰質土壌の畑の樹齢20年のボバル100%。フレッシュで繊細、軽やかで、塩っぽさが感じられます。フィンカ・テレラソ・ボバルFinca Terrerazo Bobal 2023はこのボデガの代表のようなワインで、1945年と1970年に植えた隣接の畑のボバルを使っています。複雑味のあるしっかりしたワインです。

トニ・サリオンさんはボデガの顔と言えますが、今ではお嬢さんのオルガOlgaさんも醸造家として活躍しているので、後継者もしっかり備わっています。

ボバルとメルセゲラは高い品質のワインを生み出すこの地域の地場品種として認知されてきていますし、気候変動にも強いため、将来を背負っていると言えるでしょう。

 

 

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