前回の続きです。
寒暖の差の激しいスペインの内陸、ポルトガルに抜けるドゥエロ川のほとりにあるトロは長い歴史を物語る遺跡が残る町です。その近くにあるボデガ、「ヌマンティアNumanthia (http://www.numanthia.com/#/es/home)」はThe Revival of Spanish Legendを謳っています。”スペインの伝説の復活”とはなにかというと、”resistencia 抵抗力、耐久性”です。紀元前2世紀、ヌマンティアの町に結集したセルティベリア(Celtiberia)住民は人たちは押し寄せるローマ人たちの攻撃に屈せず、粘り強く立ち向かっていったのでした。そのためnumantino(ヌマンティアの)という形容詞は”勇敢な、断固とした”という意味で使われています。ボデガ、ヌマンティアはそんな心意気を持って、トロの厳しい気候にめげず実をつけるぶどうの力を十分に生かしていこうとして努力しています。このボデガは1998年創設で、2008年にルイ・ヴィトン・ヘネシーの傘下に入りましたが、当初から、その力強さと繊細さを備えたワインは数あるスペイン・ワインのなかでも大変高い評価を得ています。(写真:ディレクターのマヌエル・ロウサダさんと)
他に、さらに厳選されたぶどうでつくるTermanthiaともう少し気軽に飲めるTermesがあります。
トロの次は、少し北西に向かいました。セルベイロというガリシア地方の端の村に泊まります。
ここは同名のチーズの産地でもありますが、サンティアゴ・デ・コンポステーラを目指す巡礼街道の最後の難関と呼ばれる山越えの要所でもあります。ケルト文化の遺産、丸い草葺屋根の家があったりする、おとぎ話の村のようなところです。
この近くにあるワインの産地がビエルソです。当然ながら山の中にあります。訪ねたボデガはファミリー経営の「カサール・デ・ブルビアCasar de Burbiahttp://www.casardeburbia.com/es/」。畑は山の急斜面にあるため、四輪駆動車でなければ不可能な細いでこぼこ道しかありません。バスでは登れませんとのことで、10人グループで行った今回、畑は遠くから眺めました。
二代目で醸造家のイシドロ・フェルナンデスIsidro Fernandezさんが心を込めてワインをつくっています。畑は巡礼街道沿いにある山の傾斜地にある100年物。栽培品種はメンシアという、ガリシアを代表する黒ぶどう品種です。樽熟しているワインを飲ませていただきました。(写真はバトナージュしているイシドロさん)白はゴデーリョとドニャ・ブランカのブレンド。赤ワインはいずれもメンシア100%で、樽熟期間が短いものから、Casar de Burbia(アメリカン・オークで8か月), Hombros(フレンチオークで12か月), Tebaida(フレンチオークで16か月)です。メンシアらしい繊細さを持ちながら、香り豊かでエレガントなワインでした。