BLOG

フォルメンテラ島 Formentera

2026年9月14日。念願のフォルメンテラ島に遂に行ってきました。30年ほど前、スペインのデザイナーさんから直接買ったトカゲをデザインした指輪があります。彼はフォルメンテラにアトリエを持っていて、そこのトカゲをデザインしたとのことだったので、ぜひその島に行ってみたいと長年思っていました。

フォルメンテラ島にはすぐ隣のイビサ島の港から毎日、朝から晩まで、ほぼ30分毎にフェリーが出ています。イビサの港は島の南部にあり、フォルメンテラはその最南端から南にぶら下がったような位置にあるので、船からはイビサ島の海岸線を見ながら進むことになります。イビサ島はかなり平坦な緑の島です。(写真はフェリーから見たイビサ島)

そしてフォルメンテラ島は、さらに平たい島でした。左向き(西向き)のタツノオトシゴのような形をしていて、しっぽの部分、つまり東部の端に最高峰のラ・モラLa Mola山がありますが標高202m。西部、タツノオトシゴの口先部分に100mをわずかに越すくらいの小山があるぐらいです。一方、頭のてっぺん部分には潟のような湖が2つあります。

フォルメンテラの港でタクシーに乗って「カップ・デ・バルバリアCap de Barbariaというボデガお願いします」というと、運転手さんが「本当にここに行くの?」と信じてくれません。このボデガは見学を受け入れていないので、誰も行かないとのこと。

フォルメンテラ島にはボデガが2社あって、行こうとしてるボデガは島の南西の端、タツノオトシゴの鼻先の岬=Capにあり、もう1社は全く反対の東の端、前出の最高峰ラ・モラ山にあるテラモルTerramollというボデガです。こちらはワインツーリズムに積極的なので、観光客もよく訪れるのだそうです。

ということで島の真ん中を真っすぐ岬に向って走ります。道々、家畜が逃げないように作る土地の境界の石壁がよくありましたが、家畜は見えません。ブドウ畑もありますが、すぐその先は緑の森です。

こうして到着したボデガではロベルトRoberto Ribas Ferrerさんが待っていてくださって、タクシーの運転手さんもほっとして帰っていきました。

このボデガは2001年にロベルトさんも含め3人で始めたものですが、2010年にオーナーが変わったとのこと。

ここでIGPフォルメンテラについて、仕様書Pliego de Condicionesから、ご紹介します。

-認定地はフォルメンテラ島全域。

-使用認可品種は黒ブドウがモナストレル、フォゴネウFogoneu、テンプラニーリョ、カベルネ・ソーヴィニョン、メルロー、シラー。白ブドウがマルバシア・アロマティカ、プレンサルPrensal =モル Moll、シャルドネ、ヴィオニエ、ガルナチャ・ブランカ、モスカテル・デ・グラノ・メヌド。

-土壌気候条件は、まず島であるということ。バレアレス諸島内で最も暑く、最も乾燥した島。海風の影響が大きい。冬は北もしくは北西風、夏は南風。年間降水量は300~400㎜。年間平均気温18℃。年間日照時間2,883時間。畑の平均標高は15mと低く、海から遠くて2km。土壌は砂質で石灰質。ブドウ畑はローム・粘土・砂質ですが、砂質が際立っています。炭酸塩と活性石灰が多く、pHは8.7に至るアルカリ性。

こういった条件により、フォルメンテラはフィロキセラ禍を被っていません。古い畑は自根です。カップ・デ・バルバリアは地場品種である黒ブドウのモナストレルとフォゴネウ、白ブドウではプレンサルに力を入れています。

フォゴネウとプレンサルはバレアレス諸島の固有品種です。MAPA=Ministerio de Agricultura, Pesca y Alimentacion農水食糧庁のブドウ品種別栽培面積2024年統計を見ると、どちらもバレアレス諸島以外に数値はなく、フォゴネウは14ha、プレンサルは261ha。主に、はるかに大きいマヨルカ島で栽培されています。

カップ・デ・バルバリア所有のブドウ栽培総面積は6ha。ボデガの横の畑は小石交じりの砂質でした。収穫は終わっていましたが、畑の樹にはまだ緑のキジバト除けネットが残っていました。イビサ島もそうですが、キジバトの害が甚大なようです。

試飲の最初はロゼの「コバ・ロサCova Rosa 2025」。樹齢30年以上のモナストレル100%。印象的な素晴らしい色のロゼ。最近は見なくなった、赤に近いようなバラ色のワインです。軽やかですが、口に含むとしっかり存在感があり、フルーツと酸のバランスの取れた飲み口の良いワインです。次は赤の「オフィウサOphiusa 2023」。モナストレル、フォゴネウ、カベルネ・ソーヴィニョン、メルローのブレンドで6か月樽熟です。赤いベリー系の香りで、クリーンな軽やかさのあるワインです。3本目は「Cap de Barbaria Formentera 2021」真っ黒な肩の張った大きめのボトルに入ったワインで、名前は潔くボデガ名と島の名前。これもモナストレル、フォゴネウ、カベルネ・ソーヴィニョン、メルローのブレンドタイプですが、ボデガの原点ともいえるワインで、この土地を正直に表現したワインとして20年以上前から造り続けているとのこと。樽熟18か月、瓶熟3年。凝縮度は高いけれどソフトな口当たりで、きれいな酸のあるワインです。

次は「フォモFomo 2024」。樹齢100~130年の古木、フィロキセラに遭っていない自根のモナストレルとフォゴネウで造られています。バックレーベルに「正真正銘土着のクパージュ」と書いてあるところをみると、古い混栽畑のようなので、問い合わせてみたのですが、お返事は未だに届きません。アルコール度14%で、細めの骨格がしっかり通った、繊細さのある赤です。樽熟10か月。

最後は、ボデガの中で見て、気になっていた「ソレラSolera」と書いてある樽で熟成されているワインです。「パンシット・デ・フォルメンテラPansit de Formentera」と言います。パンシットとはパサつまり干しブドウのことです。日陰干ししたブドウで造る甘口ワインです。ブドウは白のプレンサル。ソレラのシステムで10年以上樽熟した琥珀色のきれいな甘さのワインでした。

 

帰りはサン・フランセスクという、ショップやレストランがある可愛い村で休憩。ここからバスで島北部の潟の周りを走り、ビーチに寄ってからイビサに帰りました。車がなくても、いろいろなコースの公共のバスがあって、とても便利でした。

 

今回はフォルメンテラに行くことを決めてから、ネットでボデガを探し、最初に見つけたのが「カップ・デ・バルバリア」でした。突然メールを送ったにもかかわらず、訪問を快く迎えてくださった「カップ・デ・バルバリア」のみなさま、ありがとうございました。素晴らしいワインに、そしてトカゲにも、出合えてうれしいです。

無事フォルメンテラ島からフェリーでイビサ島へ帰りました。

関連記事

PAGE TOP